その危険なはずの食材。一体どうやって「美食」として確立できた!?

 これは本当に、「共感!」、「納得!」と何度も頷かされてばかりでした。

 フグ料理。現代でもそこそこの値段を出せば刺身とかにして食べさせてくれる店はちょこちょこと見つかります。

 テトロドトキシンという毒を持っているので有名で、よく知らないで調理しようとすれば毒に当たって命の危険もある食材。

 でも、それを食べるようになったのは現代になってからの話ではない。江戸時代の頃にはもう食べられるようになっていた。

 これ、本当にどういうことなんだろう?

 小学校の時にフグ毒の話を知ってから、疑問に思っていたことでもありました。現代のような科学検査キットもない時代。そんな時代にどうやって「どう調理すれば安全になるか」というのを確認できたのか。

 本作では「ふぐの子糠漬け」のメニューを中心に、毒を緩和するための処置とか、毒の有無を検証するのに行われたかもしれない方法などが検証されていきます。

 フグは危険なものではあるけれど、贅沢な食べ物でもある。命の危険を乗り越えてでも「美食」を実現しようとした過去の人々。

 彼らの胸にはどれほどの情熱があり、どんなドラマを経て現代の調理法が確立されたのか。改めて大きなロマンも感じさせられる出来事だな、としみじみと感じ入らされました。

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