普段着短歌 ーネモフィラの丘ー

aoiaoi

ネモフィラの丘

騒音の中澄み渡るピアニシモ束ね編む私だけのソナタ



スウィーツとかわいいは妙につるんでて 甘味嫌いはなんかヴィランで



またしても恋の相談受ける側君の悩みのタネになりたい



貯金ガポガポでデートは安酒であんたほんとに貧しいんだね



とっときのチーズとサラミ皿に出しビール買い忘れた冬の月



一輪車操るみたく鮮やかに私を乗り回して嗤うきみ



人と人きっとこだまと同じだねやさしく呼べばやさしく返る



君にひとつ選ぶ癖まだ抜けないよ 旅先の街小さな朝市



私はねあなたの幸を願うより吹雪で帰路を断つ雪女



砂利の道駆けて茂みをかき分けて ふたりの秘密だった木苺



明け方に横で密かに起き上がり泣いてる君を背で感じてる



かなしみに向け歩いてる全員が知っているのにどうして人は



あれほどにほしいと思っていた翼なぜ君がつけていってしまうの



飾る気のないオーナメントひとつ買う日暮れのクリスマスマーケット



酒のあて見繕うのがうまいねと言われる我もまた酒のあて



「妻」に「母」私を覆うシールたち剥がした肌にあなたが触れる



もう会えない人に会いたい それとももう会えないから会いたいのかな



悲しくて孤独で愛おしい耳はひそかな一音すら逃せない



ネモフィラの丘行くようにこの道を小さな花で満たせればいい



これからのことはなんにもわからない 君と歩いていくこと以外は




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