水路の未来


数日後。世界は平穏を取り戻し、水脈庁は極秘裏に解体された。神崎や組織の詳細は公にされず、「大規模なテロ組織の鎮圧」として処理された。


湊と零、そして涙は、日常へと戻った。涙は、再び高校へ通い始め、自分の力を恐れることなく、新たな人生を歩み始めていた。零は、もう孤独ではなくなった。


湊の右腕の『回路』は、目に見える光を放つことはなくなったが、彼の心と零、涙の心は、確かに繋がっている。


夜の屋上。湊と零は、二人並んで、無数の光を放つ東京の夜景を見下ろしていた。


「私たちの力は、消えたわけじゃないのね」零が静かに尋ねる。


「ああ。俺たちの『カスケード』と『回路』は、この世界の新しい水路になったんだ」湊は微笑んだ。「誰も気づかない。でも、誰かの願いが歪みそうになった時、俺たちの力が、その流れをそっと導いている」


彼らの傍には、御影沙織が立っていた。彼女は、もう保健教師でも、管理者でもない。


「あなたたちは、世界の新しいガーディアンよ。誰も知らなくても、その役目を果たしなさい」


湊と零は、互いに顔を見合わせた。彼らは、もう一人ではない。二人の、いや、三人の能力と意志は、人知れず、この世界を、誰も犠牲にならない未来へと、永遠にチューニングし続けるのだ。


『諦めない気持ちが ずっとここに 満ちているから』


消える事のない君の証、自由なその両手で、ここからまた始めよう


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カスケード 南賀 赤井 @black0655

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