【短編】他人の人生リセットボタン

ちゃっぷ

他人の人生リセットボタン

 自分の人生をリセットできるボタンがあったら、あなたは押しますか?


 ……押すのも押さないのも、それはあなたの選択次第。


 全ては自由です。


 では、他人の人生をリセットできるボタンがあったら、あなたは押しますか?


 悪ガキに育ってしまった子供の育て直し。

 失恋に悲しむ友人を救う。

 病気に悩み苦しむ家族を守る。


 理由は様々ですね。


 さぁ……あなたはどうしますか?


 ***


 ――押すと決めた方。


 あぁ、あなたはなんて素晴らしい偽善者なのでしょう。


 自分の選択が正しいことだからと、他人の人生に手を出そうとなさるのですね。


 神にでもなったおつもりですか?


 あぁ……恐ろしい、恐ろしい。


 ――押さないと決めた方。


 あぁ、あなたはなんて素晴らしい傍観者なのでしょう。


 他者を救える手段が目の前にあるというのに、責任を取りたくないから、もしくは自らには関係のないことだからと傍観なさるのですね。


 実に人間らしい選択です。


 あぁ……ただ、忘れないでくださいね。


 救えたかもしれない命や守れたかもしれない繋がりが失われた時、あなたには涙する資格はないのだということを。


 ***


 ふふ……皆さんの選択、実に興味深かったです。


 え? どちらを選んでも文句を言われたですって?


 当然でしょう。


 他者の人生に向き合うというのは、デメリットばかりなのですよ。


 しかし……デメリットがあっても、それだけの価値があると感じるかどうかは、あなた次第です。


 文句を言われたくないのであれば、永遠に孤独に、1人で生きるというのも手ですよ。


 さぁ、あなたはどちらを選択しますか?

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【短編】他人の人生リセットボタン ちゃっぷ @chappu222

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