概要
人々は貧困に苦しんでいた。
そんな中、誰かが言った。
「楽園には君達が望むものが全て揃っている。命知らず達よ、楽園であるダンジョンを目指せ」
人々は真偽を確かめる事もなく楽園があると噂されている氷と雪に覆われた山を登る。
私、カレン・グレイシャは魔術師だ。
山は温暖魔法が無ければ登れないほど過酷な環境だが、もう体力も気力も、魔力すら尽きた。
絶体絶命の中、私は巨大なクレバスに滑落して足の骨を複雑に折ってしまう。
私が挑むよりも前に大切な友人が挑み、そして返ってこなかった楽園への道。
もう一度会いたい一心で、ここまで登って来たというのに現実は非情だ。
崖っぷちから始まる、世界を巻き込んだ壮大なファンタジー作。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!雪山ダンジョンを攻略せよ
第10話まで読みました。ファンタジーなのですが、舞台が雪山の中。そのためか、描写がいかにも寒そうで、臨場感があります。一方で、人間関係の描写はウェットで、雪山描写との対比がこの作品ならではの読み心地を生み出しているように思いました。
ファンタジーではあるものの、流行りのもののような今風の要素はほぼありません。正統派で骨太です。今風のファンタジーも楽しいのですが、こういう作風の作品からしか味わえない面白さがあるんだなと、改めて実感しました。
10話まで読んだ印象では、先への引きはそこまで強いという訳ではないのですが、登場人物のかけあいが軽妙で、キャラクタードラマとして十分魅力的。それだけで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!失敗しても泣いてもだいじょうぶ。それでも仲間と歩いていく。
楽園を目指す冒険譚として読み始めましたが、物語が進むにつれて世界観の奥行きと登場人物たちの葛藤に引き込まれていきました。
主人公カレンは、力で押し切るタイプではなく、魔力感知や判断力で仲間を支える存在として描かれており、その成長過程がとても丁寧です。迷いながらも前に進もうとする姿には自然と感情移入できました。
仲間たちとの関係性も心地よく、意見がぶつかる場面でも簡単に答えを出さない描写が、この物語に深みを与えています。
また、「楽園」という言葉のイメージが少しずつ揺らいでいく構成が印象的で、単なる冒険ファンタジーに留まらないテーマ性を感じました。
キャラクターの感情や世界設定をじっくり…続きを読む - ★★★ Excellent!!!命を賭してでも、手に入れたいものはありますか?
そこに行けば、どんな夢も叶うという。
どこかにあるといわれて、みんな行きたがる遥かな楽園。
ただ生きることだけでも苦しさに満ちたこの世界で、多くの登山家がそこへ旅立ったが、
その道のりは、あまりにも遠いものだった――。
物語は、圧倒的に過酷な環境で幕を開ける。
吹きすさぶ氷と雪、薄い酸素、極度の低温、生命の一切を否定する極地。
ヒマラヤ山脈のエベレストよりも遥かに高い高度1万メートルに、少女・カレンはいた。
そこが地球ならば、暴風が吹き荒れる対流圏の入り口であり、気温はマイナス50度にもなる。
魔法の力を使っているとしても、常人にはたどり着けない死の世界だ。
だが、…続きを読む