◆黒い人影◆
茶房の幽霊店主
第1話 黒い影。
※(マシュマロからの匿名投稿です)
※(プライバシー保護のため地域・固有名詞などは伏せています)
※※※※※
以前働いていた施設での体験です。
この介護施設は利用者さんが生活介護を受けながら、住居としている施設で、施設内で亡くなられる方もいます。
夏の暑い季節を過ぎ、秋に入ると利用者さんの中から、何名かは深刻な体調不良を訴える方が多くなります。
たまに利用者さんが 、
「黒い人影が見える、黒い人影が段々近づいてくる」と言うことがあります。
すでにこの世を去った友人や親戚が部屋へ現れて 、一緒にごちそうを食べたと言う方もいます。
こうした内容の話を自ら介護士に話した時は、仲間内でお迎えが近いのかもしれないと話し合い、利用者さんの体調や行動に気を付けています。
黒い人影は最初、建物の外にいるようで、少しずつ自分の部屋へ近づいてくるそうです。
去年、男性の利用者さんが「人の形をした真っ黒い影がいる」と言い始めました。
「黒い影が庭にいる」「黒い影が玄関にいる」
「黒い影が廊下にいる」「黒い影が部屋の前にいる」など毎日です。
「黒い影が寝床の横にいる」と聞かされた数日後、容体が急変してそのまま看取りとなりました。
亡くなった友人や親戚と宴会をしたと言っていた。
女性の利用者さんも穏やかな最期を迎えました。
施設で働いていると、こうして前兆のような 言動をする方が時々います。
別件ですが、亡くなった方の部屋を清掃して、その後、誰もいないはずの部屋から物音が聞こえました。
防犯用カメラの動画では白っぽい影のようなものが、部屋の中を出たり入ったりしているのが映っていましたが、 施設の利用者には言わないように口止めされました。
今はこの施設から離れ別の場所で働いています。
※(施設関係は守秘義務があるので、出来事にだけ焦点を絞っています)
※※※※※
※(ここからは【黒い人影】の考察です)
『黒い人の形をした影』
同じ事象を10年以上前にも聞いたことがあります。
過去に聞いた体験談でも、ご年配の男性が病院で【黒い人影】のことをお孫さんに話していて、病床で身動きができない、起き上がれない状態なのに、病棟の外、自分のいる階の真下まで黒い影が来ていると。
お孫さんが言うには、窓の外を見ることができないのに、何を言っているのかと不思議だったようです。
『黒い影がくる!黒い影を追っ払ってくれ!』
亡くなる数日前、大声で言っていたそうです。
近くに来ると真冬の寒さを感じるとか。
【黒い人影】が何であるかは不明ですが、終わりの時期が近づくと、あの世を連想させるものが 、近くへやってくるのかもしれません。
※※※※※
すでに亡くなっている友人や親戚、親など縁のある者が部屋を訪ねて来たり、夢に現れるのもよく聞きます。
匿名様の体験談の中でも、女性の部屋へ故人が現れて一緒に食事をしたと話されていたように 、
※(≪よもつへぐい≫を連想させます)
現実とあの世の境目が曖昧になっていく。
渡る前の時間は人それぞれ違うのでしょうが、どことなく似たような体験をするケースもあるようです。
ちなみに、メンタル最強・元看護師の知人いわく、病院内の不思議な現象は大声で恫喝すると、大抵の場合、静かになることが多いのですが、【黒い人影】だけは何をしても怯まないのだそうです。
◆黒い人影◆ 茶房の幽霊店主 @tearoom_phantom
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