第2話 青の世界

青く透き通る水が道路を満たしている

街はすっかり水に沈んでいる


立ち並ぶビルの横の路地は珊瑚礁

カラフルな小魚が泳ぐ


はるか遠くの時計塔に時計は無い

代わりに大きなエメラルドが青く光る


水も宝石も空も全てが青い世界で

膝まで水に浸かりながら

少年の私は小さな弟の手を引いて彷徨い歩く


家を探しているのか

親を探しているのか

青く輝く水の廃墟は美しいが

弟の目はなぜか悲しみに満ちている


私はどちらに歩いていいかわからずに

ただ手を離さぬよう力を込めた

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夢の行詩 夏乃緒玻璃 @NATU2025

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