(Q)賊の到来

鈴星

 衝撃的な光景だった。

 仲間が賊に捕まり、遊ばれていた。


 ――俺らに噛みつく奴らなんていないはずだろ?!ましてやもう子どもじゃないんだ。あいつら、イカれてる。


 賊どもはその仲間をつつき回して遊んでいた。

 抵抗するほど、その遊びは激しくなっていった。


 ――……惨い。


 俺は立ち去った。

 諦めろ。襲ってくる奴は稀というだけで、あの巨体にこちらから挑んだところで勝てるはずがないのだ。


 逃げながらその光景を思い出していた。

 アイツらの目は正気とは思えなかった。


 ――今までたくさん食べて、ようやく一人前と言えるほど大きくなったというのに……。今まで溜め込んできたこれは、無意味だったのか?


 身体に刻み込まれたこれを、他の奴らは避けている。だから俺らを取って食おうなんていうやつはそういない。


 アイツらは――イルカ共は、気が狂ったのか?


 もっと溜め込まなければ。




 目の前に食い物がある。


 もっと食わないと……。


 口に入れた瞬間、何か尖ったものが刺さった。直後、身体は空気中にあった。


「あ、フグだー。食べられないね」

「戻してあげようか」


 身体を触られた。熱い!

 その巨体は俺の口に刺さる針を外して俺を水中に戻した。


 口は傷ついたまま。


 痛い。痛い……。



 血の匂いを嗅ぎつけたらしい何かが勢いよくこっちに向かってくるのが見えた。





 答え

 ↓








 フグ

(最後に明示されましたね。)


 ※イルカがフグ毒をキメて遊ぶことがあるそうです。知能が高いというのも考えものですね。


 ※フグの毒は食べ物から取り込むと言われています。生物濃縮に関係あり。

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(Q)賊の到来 鈴星 @seika-bell

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