第16話 ペロブスカイト太陽電池ーー未来エネルギーー
最後は、太陽守護だった
――ペロブスカイト太陽電池と、静かな経済の話――
正直に言えば、
私はずっと「未来のエネルギー」という言葉に現実感を持てずにいた。
脱炭素、再生可能エネルギー、GX。
どれも正しい。けれどどこか遠く、
生活の手触りから切り離されているように感じていた。
そんな中で、
ペロブスカイト太陽電池の導入が決まったという知らせを受けた。
ああ、そうか。
最後はここに着地するのか、と思った。
派手な革命ではなく、
静かな「太陽守護」だった。
ペロブスカイト太陽電池とは何か
ペロブスカイト太陽電池は、
従来主流だったシリコン型太陽電池とはまったく性格が違う。
最大の特徴は、
薄い・軽い・曲がること。
ガラス基板の上に重いパネルを載せる必要がなく、
フィルムのように加工できる。
壁、窓、ビルの外装、さらには曲面にも貼れる。
もう一つ重要なのは、
弱い光でも発電できる点だ。
晴天の直射日光だけでなく、
曇り空、朝夕の斜めの光、
室内に差し込む程度の明るさでも機能する。
これは、日本の気候条件と非常に相性がいい。
常に強い日差しを期待できない国で、
「それでも働く」太陽電池だからだ。
製造面でも特徴がある。
高温工程が必要なシリコン型に比べ、
ペロブスカイトは印刷技術に近い製法が可能で、
将来的な量産コストの低下が見込まれている。
つまりこれは、
「巨大な発電所を作る技術」ではない。
生活空間そのものを発電体に変える技術だ。
中央集権ではないエネルギー
経済の視点で見ると、
ペロブスカイト太陽電池の本質はここにある。
電力を一極集中で生み、
遠くまで送るモデルから、
分散型・地域型へ。
個々の建物、個々の場所が、
少しずつ自立する。
これは、
効率や利益だけの話ではない。
リスク分散であり、
災害対策であり、
同時に思想の転換でもある。
エヴァンゲリオンで例えるなら、
これはサードインパクトではない。
世界を一度壊して、
一つにまとめ直す計画ではない。
むしろ、
「何も起きない日常が続く」ための選択だ。
強く照らすアダム的な太陽ではなく、
気づかれないまま生命を支える
リリス側の太陽。
支配しないエネルギー、
溶け込むエネルギー。
数字が現実に着地した日
導入が決まった日、
私はいくつか象徴的な数字を目にした。
均衡を思わせる配置。
そして 22,222 というゾロ目。
笑い話のようだが、
その一部はエヴァンゲリオン関連の使用経費だった。
空想や物語に注いできたエネルギーが、
現実の帳簿にきちんと記録され、
同じ日に「太陽」という現実解に結びつく。
これは偶然以上に、
経済が物語を回収した瞬間だと感じた。
技術は、人を冷やさないためにある
その夜、
私は日本酒を少し飲み、
熱々の肉まんを手にしていた。
未来のエネルギーの話をしながら、
手の中はちゃんと温かかった。
それでいいのだと思った。
ペロブスカイト太陽電池は、
未来を誇示する技術ではない。
今の生活を冷やさないための技術だ。
経済とは、
成長率や市場規模だけではない。
人が今日を越えられるかどうか、
その連続でもある。
最後は太陽守護。
眩しくなくていい。
ただ、静かに、確かに、
そこに在る。
古神道の経済白書 今日本に起こっていること・世界債権とは? 天秤アリエス @Drimica
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