わたしなりのAI小説
ゴルゴンゾーラ三国
本文
AIを利用した作品に対して、タグつけをするように――2025年11月19日にカクヨムからのお達しがありました。
わたしは結局見なかったのですが、AIを使用して書かれた作品をドパッと投稿したアカウントの作品がランキングにのったのだとか。
それに関してはいろんな方がエッセイで書いているでしょうし、わたしはあまりその件について詳しくないので、ここでは何も言わないでおきます。
カクヨムでのAI作品での扱いについて、Twitter(わたしは意地でもTwitterと言い続ける人種なので間違いではありません)で色々と意見が交わされていました。
多分、わたしが今書いているテーマと同じ内容でエッセイを書いている人がいると思いますが、わたしが書いていないので書かせていただきます。
今回、ふと思ったのは、『AI小説ってそんなに書くの楽なんか?』という話です。
文章量は人間は完敗でしょう。人間は24時間ノンストップで作品を書き続けられません。無理です。不可能です。
ただ、少しでも小説を、自力で一から書いたことのある人なら分かる、というか、少し考えてしまうと思うんです。
『ちまちま修正するより、自分で書いた方が早くね?』と。
こう思うには、理由があります。
AIで作品を作るという行動に、小説よりも先に問題が起きたコンテンツがありますね。
そう、イラストです。
わたしはサブカルコンテンツを創作するのが大好きで、それだけで生きていきたいと思っているタイプの人間なので、小説以外にもイラストを描きます。Twitterのアイコンもアルファポリスに投稿している表紙のイラストも、全部自分で描いています。プロにはなれないにしても、下手の横好きレベルには描けます。余談ですが、別名義で漫画を描いたり動画を作ったりVモデルの勉強をしたり、昔は作曲の勉強をしたこともあるくらいには創作オタクです。
そんなわたしですが、ある日、生成AIでイラストを出力してもらったんですね。
結論から言うと、『やっぱり自分で描いた方が早いかもしれん……』という感想でした。
いや、わたしが描くよりAIが描く方が上手いし安定してるんですよ。ある程度細部は破綻するんですけど、絵柄という一点に置いては安定していると思います。
でも、自分の思った通りの絵が出てこない。
多分、わたしの指示の仕方が悪いんでしょうね。AI絵師を名乗る方々が、『AIもAIで大変』と言うのは、こういうところがあるのだと思います。黒髪で可愛い女の子なら何でもいい、とかなら話は別ですけど、自分の理想のキャラクターがすでに存在していて、それを出力してもらうのは、まあ大変。
わたしが男キャラを出力してもらおうとしたのもある種問題かもしれませんが。軽く調べた程度だと、男より女の方がやっぱり上手に行くみたいですね。
そこで本題です。
小説もイラストみたいに、自分で書いた方が早いんじゃないか? と。
と言うわけで、とりあえずチャットGPTに、『5000~10000字くらいの短編小説を書いてください。テーマは「婚約破棄」「悪役令嬢」で、必ずオチをつけ、完結させてください』という指示で作品を作ってもらいました。原文そのまま、この通りの指示です。
で、待つこと約二分。二分で完成です。
わたしが5,000~10,000字の作品を書こうとしたら、多分、一時間半~五時間くらいかかると思います。わたしは手が止まることがなければ1,000字あたり15~20分程度で書き、資料を探したり続きに詰まったりしながら書くと大体30~50分くらいでしょうか。たまに一時間くらいかかったりもしますが、あまりにレアケースなのでそれは除外。
わたしの五十分の一近いペースで作品を仕上げてくれるということです。
量だけを考えればとんでもない数投稿できますね。
で、さっそく、どんなものが仕上がったか、ですが……。以下、チャットGPTくんが頑張って書いてくれた作品のコピペ。タイトルだけ『 』で囲わせてもらいましたが、それ以外はとりあえず本当にそのままです。
=====
『翡翠(ひすい)の指輪は嘘をつかない』
王都に春が訪れたその日、侯爵家の令嬢レティシア・アルヴァインは、宮廷中に響き渡るほど見事な形で――婚約を破棄された。
「レティシア・アルヴァイン! 君との婚約をここに破棄する!」
玉座の間の中央で、第一王子ハロルドは誇らしげに宣言した。
ざわめき、生ぬるい同情の視線、そして意地悪な笑み。
どれも彼女がこれまで浴びてきたものと変わりはない。
レティシアは静かに一礼した。
「理由をお聞かせいただけますか、殿下」
「決まっている! 君の数々の悪行だ! その証拠に――」
王子の背後から、純白のドレスに身を包んだ少女が一歩前に出た。
栗色のふわふわした髪、潤んだ瞳。存分に乙女らしさを振りまくその少女――
「カトリーナ嬢に対する数々の嫌がらせだ!」
その声に、レティシアはようやく口角を上げた。
「まあ。では、具体的にどの“嫌がらせ”を指しておられるのかしら?」
「えっ……えっと、その……」とカトリーナが王子の背に隠れる。
――証拠がない。それは当然だ。
全部、でっち上げだから。
レティシアは“公称・悪役令嬢”である。
しかしその実態は、王家一門を陰から護る
悪名を被る役目を買って出たのは、敵をおびき寄せるため。
貴族社会では「悪役令嬢」の噂が広がれば広がるほど、彼女の周囲に“闇”が引き寄せられていく。それこそが任務だった。
王子の背後で震えるカトリーナ。
そのドレスの胸元――彼女だけに見える位置で、翡翠の指輪が静かに光る。
(やっぱり……魔術反応、確定ね)
カトリーナこそ、王国転覆を企む他国のスパイ。
庶民のふりをして王子に近づき、魔術を仕込んだ指輪で精神操作をしていると、レティシアは以前から掴んでいた。
「殿下のご判断に従います。ただし――」
レティシアはスカートをつまみ、上品に微笑んだ。
「婚約破棄の正式な手続きには《真実の審問》が必要ですわよね?」
「な、なんだそれは?」
「婚約破棄が“正当な理由に基づくものか”審査する儀式ですわ。
嘘をつけば、翡翠の審問球が反応する……ご存じなかった?」
――もちろん知らない。
今、レティシアが作った嘘だから。
しかし、ここにはひとつの確信があった。
スパイは必ず、本物の翡翠の魔術に反応する。
王家側は、レティシアが作り話を用いて敵を炙り出す手法を熟知している。
周囲の貴族たちも「ならば儀式を!」とノリ始めた。
「よろしいのですね? カトリーナ様」
「は、はい……もちろんですわ!」
その瞬間、レティシアの指輪がまばゆく光った。
――嘘をついた。
カトリーナは硬直し、その場に膝をついた。
魔術反応が暴走し、白いドレスが淡い紫に染まる。
「きゃあああああっ!?」
宮廷が騒然となった。
カトリーナの胸元から黒い靄があふれ出す。
それは精神操作の魔術の“残滓”で、隠すこともできない。
「カ、カトリーナ……どういうことなんだ!?」
王子が青ざめた顔で見下ろす。
「わ、私は……ただ、あなたを……!」
「殿下」
レティシアは静かに一礼する。
「これで十分ですわよね。私が殿下を操るなど、ありえませんわ」
――むしろ、殿下が操られすぎていて心配していたくらいである。
その後、王宮魔術師団の捜査により、すべての真相が明らかになった。
カトリーナは他国の魔術師。
王子を操り、国を乱し、父であるルミナ侯爵家の失脚まで狙っていた。
そして、全てが片付いた後。
◆エピローグ
「レティシア・アルヴァイン。改めて――僕と婚約を」
「殿下、何度も申し上げていますでしょう?」
彼女は優雅にお茶をすすりながら答えた。
「二度とごめんですわ。」
「そ、そんなにキッパリ!」
王子の叫びを背に、レティシアは席を立つ。
「貴方に向くべきなのは、臣民の方々でしてよ。
それより――」
彼女は廊下の柱にもたれる青年に視線を向ける。
黒髪の青年、アレン・クロフォード。
王国騎士団副団長であり、《翡翠の環》の副長でもある。
「迎えに来てくれるなんて、珍しいわね?」
「任務が終わったら、言うと決めていたことがある」
アレンは真剣な眼差しで言う。
「……俺と、結婚を前提に交際してほしい」
レティシアは数秒黙し――そして笑った。
「まあ。私、悪役令嬢なのよ? 覚悟はよろしくて?」
「最初から、そのつもりだ」
「……ふふ。では、考えてあげてもよろしくてよ」
翡翠の指輪が、春の日差しを受けてきらりと光った。
――こうして“悪役令嬢”レティシアは、婚約破棄の末に、
本当に大切な人を手に入れたのであった。
〈完〉
=====
ちょっと待ってください。
2,000字弱しかありません。
お分かりですね。指示を出した通りに必ず作品を出してくれるわけではないということが。ちなみにチャットGPTは創作に特化したわけではないのか、外部サイトをおすすめされました。
このくらいの文量ならわたしだって三十分くらいで書けるもん!! と言いたいところですが、チャットGPTくんは二分で仕上げてきたのでそれでも負けています。
ちなみに、わたしは小説のネタを机の前に座って「よ~し考えるぞ~!」とかやったことないので、ネタ出しの時間は除外します。なんとなーく常にぼんやりと考えていて、机の前に座ってパソコンを開くときにはもう書き出せるくらいにはしているので。
ということで、ここからわたしが3,000字書き足して調整しつつ、5,000字にします。
=====
王都に春が訪れた。暖かな日差しが心地よい気温であるにも関わらず、王座の間の空気は一変して、冬のように冷え切っている。
そんな雰囲気を作り出している中心人物の一人――侯爵家の令嬢、レティシア・アルヴァインは宮廷中に響き渡るのではないかと言うくらい、大きな声でもって、見事な婚約破棄を言い渡された。
「レティシア・アルヴァイン! 君との婚約をここに破棄する!」
王座の間の中央で、ヒステラント王国の第一王子、ハロルドが誇らしげに宣言している。金髪に碧眼、整った顔立ちと、国中の令嬢が憧れ、慕う彼の顔は、一転して、醜い笑みに歪んでいた。
王子によって集められた貴族たちのざわめき、生ぬるい同情の視線、そして意地悪な笑み。どれもこれも、彼女が今まで浴びてきた悪意と何ら変わりはない。
――そう、いつものこと。
急な婚約破棄に動揺することもなく、レティシアは静かに一礼した。
「理由をお聞かせいただけますか、殿下」
「決まっている! 君の数々の悪行だ! その証拠は――」
王子が軽く身を引く。すると、王子の背後から純白のドレスに身を包んだ少女が、一歩前に出た。
栗色のふわふわした髪とうるんだ瞳。乙女らしさ、というものを存分にふりまく少女。
「カトリーナ嬢に対する数々の嫌がらせだ!」
王子の言葉に、レティシアはようやく無表情を崩す。しかし、それは、悪行がバレた焦りでも、少女の登場への驚きでもない。
ただ、口角を上げただけ。余裕の笑みである。
「まあ。では――具体的に、どの『嫌がらせ』を指しておられるのかしら?」
「えっ……、えっと、その……」
レティシアの言葉に、カトリーナが再び王子の背に隠れてしまう。『嫌がらせ』を受けた張本人だというのに、すぐに答えられない。一つたりとも。
「ねえ、カトリーナ様? わたくしは『嫌がらせ』をしたのでしょう? ほら、言ってくださる? 『嫌がらせ』をしたわたくしを断罪する、絶好のチャンスですわよ?」
「あ、あの……」
レティシアが挑発するように一歩前に出る。しかし、カトリーナは何も言わずに、困ったように王子の背後に隠れるのみ。
それがおかしいと気が付かないハロルドは、「今、まさに『嫌がらせ』をしているではないか!」とカトリーナをかばっている。
――証拠がない。それは当然だ。
全部、カトリーナ嬢のでっち上げだから。
レティシア・アルヴァインは『公称・悪役令嬢』である。アルヴァイン家のレティシアと言えば、誰もが悪女だと口をそろえて言うのだ。
いじめられた令嬢は数知れず。自分が一番でないと気が済まない。手玉に取られた男は人生が破滅するまで尽くさせられる。
――という、設定。
本当のレティシアは、王家一族を影から守る
悪名を被る役目を買って出たのは、敵をおびき寄せるため。貴族社会では『悪役令嬢』の噂が広がれば広がる程、彼女の周囲に『闇』が引き寄せられていく。
レティシアを同じ悪党だと思い込み、犯罪、非合法、非人道的なこと、そういう商売を持ちかける人間が彼女の元へと集まる。その人間の情報を《翡翠の環》の間で共有し、捕まえ、処罰する。
それが、レティシアが王から直接命じられた役目。
《翡翠の環》は王直属の隠し組織であり、その存在は国王しか知らない。国王に任命されてから、初めて《翡翠の環》のことを知らされるのだから――まだ王子であるハロルドが知らないのも、無理はなかった。
もっとも、このような騒ぎを起こしてしまっては、きっと彼が《翡翠の環》という存在を知ることは、永遠にないのだろうが。
そんなハロルドの背後で震えるカトリーナ。スカートの裾を掴んでいた彼女の手が、胸元で組まれる。ほんの一瞬、レティシアにだけ見える位置で、指輪に付けられた宝石が静かに光る。
カトリーナの指輪についているのは――翡翠。
翡翠は特別な宝石だ。王がレティシアの属する組織にもつけるくらいには。魔術を仕込むことができる翡翠は、貴族の間では特別珍しいものではない。護身用の魔術を刻んでいる者もいれば、遠隔でも会話ができる魔術を用いて通信機器のように使う人もいる。
だから、ハロルドも見逃してしまったのだろう。
カトリーナの指輪の翡翠の中に存在している魔術が、どんなものか考えることもせずに。
(やっぱり……、あの魔術反応。確定ね)
ハロルドの目は誤魔化せても、レティシアの目は誤魔化せない。淡く光る指輪の翡翠に現れた、魔術の刻印。それは、人の精神を操作する、禁忌の魔術、そのものだった。
「レティシア! 君も令嬢であるなら、醜く抵抗するなど辞めたらどうだ!」
カトリーナをかばい続ける、何も分かっていないハロルドを、レティシアは冷めた目で見る。
悪役令嬢、というレティシアの設定ですらかすむ、本物の悪党。カトリーナこそ、王国の転覆をたくらむ、他国のスパイ。
純真無垢な、何も知らない平民のふりをしてハロルドに近づき、精神操作の魔術を仕込んだ翡翠のついた指輪でハロルドを操っている、という情報をレティシアは以前から掴んでいた。
実際に、その様子を見るのは今日が初めてだったが――予想は的中。ここで逃がしさえしなければ、カトリーナを追いつめることができる。
「殿下のご判断に従いますわ。ただし――」
レティシアは優雅に微笑む。
「――婚約破棄の正式な手続きには、《真実の審問》が必要ですわよね?」
レティシアが短く、侍女の名を呼ぶ。レティシア専属の侍女でありながら、同じく《翡翠の環》の構成員である侍女は、心得ている、とばかりに一つのネックレスを彼女に差し出した。
「な、なん――なんだ、それは?」
動揺しているハロルド。しかし、それ以上に焦りを見せているのは、その背後にいるカトリーナだった。せわしなく、手に付けた指輪をいじっている。
「婚約破棄が『正当な理由に基づくものか』……それを審査する儀式ですわ。適当なことを言って婚約を破棄、だなんて到底許されることではありませんもの。嘘をつけば、このネックレスに付けられた翡翠の玉が反応する――ご存じでない?」
ハロルドとカトリーナが知るわけもない。たった今、レティシアが作った嘘だから。
しかし、レティシアには、はったりを押し通すだけの確信があった。
このネックレスに付けられた翡翠に刻まれている魔術は、禁術をあぶりだすことのできる魔術。ただの言葉の真偽を見抜く力はないが――今のカトリーナにとっては、こちらの方が適切だろう。
何も知らぬ貴族の中に紛れた、《翡翠の環》のメンバーの一人が、「ならば儀式を!」と一言、野次を飛ばす。それだけで、周りの貴族はその言葉に同調した。レティシアの思惑も知らずに、悪役令嬢たるレティシアが恥をかくところを見られる、と思って。
「――よろしいのですわよね? カトリーナ様」
レティシアが言うと――カトリーナは、覚悟を決めたように、一歩、前に出る。
「は、はい。……、もちろんです!」
しかし、その覚悟は、真実を証明するためのものではない。隙を見て、レティシアの精神すらも掌握してみせる、というものだった。
カトリーナは、レティシアの前に立ち、胸の前で手を組む。指輪ごと、手を握りこむようにして。
「わ、私、カトリーナは、レティシア様に嫌がらせを――」
――その瞬間。レティシアの持つネックレスの翡翠が、まばゆく光った。
カトリーナが指輪に刻まれた魔術を使おうとした瞬間、レティシアの持つネックレスの翡翠が反応したのだ。
「あら、嘘、ですわね?」
カトリーナの胸元にあった翡翠の指輪が暴走し、彼女の白いドレスが淡い紫に染まる。
誰かが悲鳴を上げ、王座の間は騒然となった。カトリーナの胸元にある指輪から、黒い霞があふれ出す。レティシアの持つネックレスの翡翠にあぶりだされた禁術の残滓は、隠しきれない靄となり、カトリーナのドレスを濃く、紫に、黒に、染めていく。
否、ドレスだけではない。栗色の髪も、白い肌も、漆黒に染まっていく。
禁術の残滓に耐えきれなくなったカトリーナが膝をついた。その様子を、「カ、カトリーナ……どういうことなんだ!?」と王子が青ざめた顔で見下ろす。
「ち、違います。わ、私は……私は、ただ、貴方を……!」
「殿下」
それでもなお、スパイとしての意地があるのか、乗り切ろうとするカトリーナの言葉を、レティシアは静かに、しかし確実に遮る。
「これで十分ですわよね?」
レティシアは静かに一礼する。
「何が真実か――もう、お判りでしょう?」
しかし、ハロルドはレティシアに何も言わない。未だに操られたままなのか、それとも――ただ、現実を受け入れられないのか。
――その後、王宮魔術師団の調査により、全ての真相が明らかになった。
カトリーナは隣国の魔術師。
王子を操り、国を乱し、国内が混乱している間に国を乗っ取る作戦。レティシアの父の失脚を狙い、アルヴァイン家の没落すら視野に入っていたという。
カトリーナが処罰され、カトリーナ以外のスパイの洗い出しも終わり、全てが片付いた後――。
「――レ、レティシア・アルヴァイン。改めて、俺と、婚約を」
王城の庭園にある東屋。ティーセットが準備されたそこで、ハロルドはそんなことを切り出す。
「殿下、何度も申し上げていますでしょう?」
彼女は優雅にお茶を飲みながら答えた。
「二度とごめんですわ」
にっこり。今までにないくらい、綺麗な笑みを浮かべるレティシア。
「そ、そんなにキッパリ! 俺はただ、操られていただけで……!」
「今の貴方が向き合うべきは、わたくしではなく振り回した臣下の方々ではなくて?」
お茶の準備をしてくれた王城の侍女のために、礼儀として、と言わんばかりに一杯の紅茶を飲み干したレティシアは「それでは、ごきげんよう」と席を立つ。
立場上、二度と会うことはない、とは言えないが、二度と顔を見たくない、と思いながら、レティシアは帰路につく。
――が。
帰りの馬車の元へと向かう途中、レティシアは足を止める。
廊下の影にいた青年に、視線を向ける。
「迎えに来てくれるなんて、珍しいわね? お仕事はよろしいの?」
「今日は副団長職は非番だよ」
黒髪の青年、アレン・クロフォード。ヒステランド王国騎士団の副団長であり――《翡翠の環》の副長で、レティシアの右腕ともいえる人物だった。
「――この任務が終わったら、言うと決めていたことがあるんだ」
「あら、なあに? わたくしの右腕としての休暇も欲しいの?」
からかうように言うレティシアとは裏腹に、アレンは、真剣な眼差しでレティシアに向き直った。
そしてひざまずき――翡翠のついた指輪を、レティシアに差し出す。カトリーナが就けていた、魔術を仕込むだけの無骨な指輪ではない。美しく、繊細な、想いを届けるための指輪だった。
「僕と――結婚を前提に、交際をして欲しい。今回の件で、君は、自由になっただろう?」
レティシアは目を丸くし、ぱちくりと数度瞬きをし――そして、口角を上げる。
「あら、まあ。わたくし、『悪役令嬢』なのよ?」
「……それは、表向きの話だろう」
「そうね。でも、本当のわたくしを知っているのは限られている。『悪役令嬢』の隣に立つ覚悟はよろしくて?」
レティシアの言葉に、アレンは「当然だ。君の隣に立てるのならば、何だっていい」と即答した。
まさかの言葉に、再び表情を崩したレティシアは――年相応に、破顔した。強さを見せつけるためだけではない、心からの、本当の笑み。
「……ふふ。では、考えてあげてもよろしくてよ」
アレンの差し出した指輪を、レティシアは受け取る。翡翠の指輪が、春の日差しを受けてきらりと光った。
――こうして、『悪役令嬢』レティシアは、婚約破棄の末に本当に大切な人を手に入れたのであった。
=====
ということで5,000字弱。一時間三十六分かかりました。普段なら、短編(というか中編?)は5,000字強と決めているので意地でも加筆しますが、まあこのくらいでいいかな、今回は。
書き直して感じたこととしては、やっぱ小説も細部がおかしいですよね。イラストだと、手と文字がおかしくなるとは言いますが、小説もなんかちょっとおかしいところが多々ありました。
翡翠の指輪持ってるのはレティシアとカトリーナどっちなんだい、とか。
なんとなく、誰がどうした、というのが分かりにくいというか。
あとルミナ侯爵誰だよ、とか。多分ハロルドの父親なのか? とは思いますが、王子なんだからハロルドの父親は王だよ……。
ちなみにヒステランドは自分で考えました。どうせAI一部利用のタグをつけるんだから、とことんAIを使って、名前もチャットGPTに考えさせることもよぎりましたが、まあ、流石に面倒だったので……。翡翠ランドを少しもじりました。
結論から言うと、やっぱり自分で書いた方が早いな、でした。自分のコンテンツとしてアカウントにのせることを許せるレベルまで持ち上げるには、結局自分がゼロから作るのとそこまで時間が変わるわけでもないですし。
とはいえ、ちょっと楽しかったです。自分の作品じゃないのを修正するって、滅多にないことですから、やったことない作業にわくわくした、というのが正しいかもしれません。
でも、絶対にこれをそのまま載せたところで書籍化できる自信はない。
誰が何をしたか分かりにくい文章ですし、設定もそんなに目を引くオリジナリティがない。
というか、何より、やっぱり『自分の作品』って言えないんですよね。AIコンテンツって、所詮代理投稿でしかないんだなって改めて思いました。一番楽しいところがAIに持って行かれて、なんで人間がコピペとはいえ手入力でカクヨムに投稿しなきゃならないんでしょう……。
AIは人間の代わりに話を考えて書くんじゃなくて、ワードとかに書いた小説を、話数振り分けを判断して自動で投稿してくれる、みたいな進化の仕方をして欲しい。ファイルをアップロードしたら全部あとは勝手にやってくれるみたいな方向に育って。
AIを良しとして作品を発表する人って、多分、職人じゃないんだと思うんですよね。過程よりも結果重視。作ることより作られたものが重要だから、誰がどう作ろうとそこまでこだわりがない。
正直、職人たるクリエイターとは一生相容れないのかなあ、と思いますね。今後は、多少はツールとしてAIを受け入れられる世界があっても、クリエイターとしてAIが認められる世界はあんまり想像つかないかな、と……。
いや、イラストのときも思ったんですけど、AIの作品って、誰でもできるからこそ、ブランド力がないというか……。AIをメインに使って作品を作る人は、クリエイターとしてやっていけないんじゃないかなあ、とうすぼんやりと考えてしまいます。
だって、外に外注するより、自分でやっちゃった方が早くないですか。誰でもできるんだから。なので、従来のクリエイターみたいに、AI生成コンテンツを売りにして仕事を取るのは厳しいんじゃないかなあと……。
とまあ、ここまで語ったのには訳がありまして。
実は、次のカクヨムコンで投稿する作品、ちょっとだけチャットGPTを使ったんですよね。
ホラーモキュメンタリーなんですが、主人公がライターでもyoutuberでもなくて。それでも大丈夫かな? っていう、相談する気持ちでチャットGPTに聞いたんです。それだけです。チャットGPTくんは、『おかしくないよ! 高校生や大学生、被害者の親族や恋人、被害者や関係者、警察・調査員、住人や管理人、宗教関係者、民俗学者とか、記録が残る必然性とカメラの存在が自然な状況があればモキュメンタリーは成立するよ!(要約)』と言ってくれました。そこでわたしは『それならフリーターで行くか!』となりました。
お分かりですね。チャットGPTに従いたくない逆張り野郎です、わたしは。
ただ、チャットGPTくんに相談したことによって、AI補助利用のタグをつけざるを得なくなってしまったわけで。
それによって、なんかアイディアまでチャットGPTに提供してもらった、みたいに思われるのは嫌だなって思ってお気持ちで書いたんです。ホラーモキュメンタリーはあまり書いたことのないジャンルなので、どういう記録媒体がいいかな? みたいなのはやりますが……。
でも、どうでもいいモブの名前だけは適当に考えるのわたしの代わりにやって欲しいな。
(ちなみに今回、カクヨムコンでモブの名前をランダム生成サイトにて生成してもらったことを白状します)
後、たまに考えていたことが被って発狂することはあります。かれられるなら可能な限り変えて、無理そうなら流石に諦めますが……。世の中、チャットGPTくんとだけ考えている創作ネタが被るわけじゃないもんね……と言い聞かせて。
いつも寝ているような時間に、勢いだけで一万字もお気持ち表明するの、人間にしかできんでしょ。
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