第16-1話: 夏、集まる三つの視線
「ちょ、小千、トースト焦げてるよ!」
今日はお店がやけに忙しい。
夏休みのせいなのか、人がいつもよりずっと多い。
千夏子は慌ててトーストを皿に移す。
こんがりを通り越した深い茶色。
食べられなくはないが、とてもじゃないが商品にはできない。
「ごめんなさい!」
そう言って、彼女はあらためてもう一枚を焼き始めた。
「なんか今日、上の空じゃない?」
店の先輩がくすっと笑う。
普段の千夏子はテキパキしていて、
自分の持ち場じゃないところでも手を止めずに気を配るタイプだ。
「大丈夫。」
母親がポンと千夏子の背中を軽く叩く。
「次の学期でリベンジすればいいのよ。」
にっこり微笑む母。
「う、うん……。」
千夏子は引きつった笑みを返した。
「全校2位なら十分じゃん!」
通りがかった店員の姉さんが、壁に貼られた賞状を見て口にする。
(いや、そういう問題じゃないんだけど……。)
千夏子は心の中で小さく突っ込む。
トーストを取り出しながら、ぽつりと呟いた。
「紗良の言うとおりだよ……。」
彼女はトーストを皿に“バンッ”と置き、
バターを搾り出す手にいつも以上の力がこもる。
「一真って、本当にこっちから送らないと返事してこないんだから!」
またバターがドバッと出た。
「わっ、今度は入れすぎ。」
背後から先輩の声が飛んでくる。
少し落ち着いた頃、スマホを見ると通知が来ていた。
「……藤堂さん?」
表示された名前に、千夏子は首を傾げる。
『はろはろ〜』
『今日の午後、海行かない?』
開いた瞬間、綾音からの突然の誘いに目を見張った。
「急だなぁ……。」
『何かイベントでもあるの?』
そう返すと、すぐに通知が来た。
『今日、障害物レースがあるんだって。
一真がやってみたいって言ってて』
「……一真?」
千夏子の目がぱちりと開く。
一気に興味が湧き上がった。
でもすぐ、
『じゃあ、友だち誘ってもいい?』
と冷静に確認のメッセージを送る。
『OK!』
すぐにスタンプが3つほど返ってきた。
「返事早っ……。」
千夏子は苦笑しながら、別のトーク画面へ切り替えた。
ババ抜きというのは、実に庶民的で、そして時間潰しには最高のゲームだ。
ただし二人きりでやると、勝負はとたんに妙に生々しく、運と心理戦の境目が曖昧になる。
「ねぇ——本当にそのカード引くの?」
葵は手札を握りしめながら、いじわるな笑みを浮かべる。
「だまされないよ!今度は絶対に!」
紗良は引こうとしているカードを指で挟んだまま言う。
「ちょ、ちょっと待った!あと一回だけチャンスあげるから!」
葵が慌てて制止する。
「だ・か・ら!無・理!」
紗良は涼しい顔でカードを引き抜いた。
「あ〜あ。」
葵は紗良のカードをひょいっと奪い取り、そのまま勝ちを確信した表情になる。
「小野さん、この勝負……あなたの、負け♡」
葵が指先で彼女のカードを示す。
「くっそぉ〜!」
紗良は手札をテーブルに叩きつけた。
「約束どおり、ホラー映画ね。」
葵は腰に手を当て、勝者特有の満面の笑み。
「神さまぁ……なんで私を見捨てるの……。」
紗良は机に突っ伏して呻く。
そこへ――。
「ピロリン。」
メッセージの着信音。
「誰から?」
葵が身を乗り出す。
「小千。」
紗良は画面を開きながら答えた。
『今日の午後、海行かない?』
「海?いつ?」
葵が首をかしげる。
「午後だって。」
紗良はメッセージを見せる。
「こんな急なの、なんか理由ありそうじゃない?」
葵はじっとその文面を見る。
「行く?」
紗良はスマホを閉じて葵に尋ねた。
「どうせ暇だし。ついでに、あんたのお姉さんも誘えば?」
葵がニヤッと笑う。
「ほんと……あんた、うちの姉にだけは興味尽きないよね。」
紗良は呆れ顔。
「仕方ないじゃん。人生で“男女どっちの格好でも似合う人”って、あんなの初めて見たんだし。」
葵は胸を張る。
「行けないよー。」
廊下の向こうから英太の声。
「あ、声デカい!」
葵が振り返る。
紗良はちょうどメッセージを打ち終えたところだった。
「何送ったの?」
葵が覗き込む。
「行くって返した……けどさ。」
紗良は眉をひそめる。
「……泳ぎに行くんだし、水着いるよね?」
すると葵が指を鳴らした。
「じゃ、小千にも“あの小さなリボンの”ビキニ持ってきてもらわなきゃ!」
「水田葵!!」
紗良の手刀が、葵の頭頂を鋭く叩いた。
海辺。
照りつける日差しは容赦なく、肌に刺すような熱をまとっている。
「ん〜〜、海!」
綾音は海に向かって思いきり伸びをし、
太陽の抱擁をこれでもかと全身で受け止めていた。
「あれ、一真。あっちの旗、スタート地点じゃない?」
綾音が指さした先には、連なった障害物のセット。
見ただけで気持ちが遠のきそうな物量だ。
「まだ受付も始まってない。」
一真はちらっと視線を送り、じゃりっと砂を踏みながらパラソルを担いで歩く。
「小千にも声かけといたよ!」
綾音はバックパックを揺らしながら後ろに続く。
人の少ない場所を見つけると、一真はパラソルを開き、
彼女のバッグを受け取って砂浜タオルを広げた。
「てか、参加しないのに……なんでついてきたの?」
一真が少し不思議そうに尋ねる。
「だって、夏休みだよ?海に来ないほうが違和感あるじゃん。」
綾音は当然のように答え、
さらに続ける。
「ほら、冬になると山でキャンプしたくなるみたいな……」
「寒くて死ぬだろ。」
一真は即答し、綾音は笑った。
「同級生に連絡してくる。」
一真がスマホを取り出す。
綾音も頷き、千夏子に位置を送った。
「全部、あんたの“水着持ってきなよ”のせいだよ!」
紗良が先頭で文句を言いながら歩く。
海に向かうバスは、運悪くちょうど行ってしまったところだった。
「だって、片付けたつもりが服の山に埋もれててさ!」
後ろから葵の声。
「まだ部屋、片付いてないんだ……。」
千夏子は苦笑する。
「小千、あんたよく笑ってられるね……。」
紗良は暑さでへとへとだ。
「バス乗らなくても、ちょっと歩けば着くでしょ。」
千夏子は平然としている。
「さすが学校のエース……。」
紗良は肩を落とす。
そのとき、二人同時に後ろを振り向く。
葵が、あまりに遅い。
「ほらね……。」
紗良はため息をつき、葵のところへ戻って支える。
「葵、熱に弱いし、今たぶん限界。」
紗良が説明すると、
「あそこのコンビニで何か買ってくる。二人は先に行って。」
千夏子は素早く判断した。
「じゃ、行こ。」
紗良は葵を支えながら歩き出す。
しばらく進むと――葵の首に、ひんやりしたタオルが巻きついた。
「ひゃっ!」
突然の冷たさに、葵は肩をすくめる。
「これで海まで持つはず。」
千夏子は紗良にアイスキャンディーを手渡す。
「ありがとう。」
紗良は受け取りながら、タオルの膨らみを見て言った。
「てか、小千……タオルに氷入れるとか、天才?」
「小千……あなた、神……!」
葵はふらふらしながら感謝する。
千夏子は笑い、葵にもアイスキャンディーを渡して、
並んで海へと向かった。
海辺では、多くの人が遊び、話し、笑っていた。
その空気につられてか、綾音も“一真と二人きり”であることをすっかり忘れ、周囲の賑わいに気を取られていた。
「でもさ、生徒会の人までこのイベントに出る必要ある?」
綾音はふと疑問を口にする。
「行事委員って名目。各部活のサポートだってさ。」
一真は身体をゆっくり伸ばしながら答える。
「で、小千は?彼女も生徒会だったよね?」
一真は少しだけ黙り、
「……忘れてた。」と小さく呟く。
綾音はそんな一真の横顔を見つめた。
記憶にある姿と重なるのに、
どうしてだろう——今日はいつもより直視しにくい。
「てか、空手部の人たちと一緒に参加って……なにその流れ?」
綾音は話題を変えるように視線を逸らす。
「前の行事委員も一緒に出たんだって。」
一真はまるで他人事のように淡々と言う。
「成績いいと“進学補習か生徒会か選べ”って言われるの、ほんと嫌い。」
綾音は砂を軽く蹴って不満を吐く。
「がんばれよ、藤堂会計。」
一真がふっと笑う。
そのとき、空手道部の数名が挨拶に来た。
みんな当たり前のように綾音を二度見する。
——例の“ビンタ事件”が噂になっているらしく、
誰も触れないのに、妙な空気と気遣いだけが漂う。
綾音は気まずさを隠すように海のほうを見る。
「よっ!」
綾音の頬に突然、キンキンに冷えたドリンクが押し当てられた。
「棠!」
振り向いた綾音が、ぱっと表情を明るくする。
「小千たちは後ろのほう。あとの二人は……多分友達。」
棠はドリンクを飲みながら後方を眺める。
綾音も視線を向けると、
千夏子と紗良が葵を支えながらゆっくり歩いてくるのが見えた。
「……あんな歩き方、絶対しんどいよ。」
綾音が思わず言うと、
「いつかおまえがああなったら、私も支えてやるよ。」
棠がさらっと言う。
「ないでしょ。」
綾音は即答。
「うん、ない。」
棠は笑った。
「ごめんごめーん!遅くなった!」
綾音の近くまで来ると、千夏子が息を整えながら叫ぶ。
「まだ始まってないし、大丈夫!」
綾音も応じる。
「……ちょっと失礼、横にならせて……」
日陰に入った瞬間、葵はその場に大の字で倒れ込んだ。
「ごめんなさい……この子、暑さに弱くて……」
千夏子が頭を下げる。
「いいよいいよ、気にしないで。」
綾音は笑って受け止めた。
彼女は紗良と葵に目を向け、丁寧に頭を下げる。
「お二人が千夏子ちゃんのお友達ね?よろしくお願いします。」
綾音は軽くお辞儀した。
「よろしくお願いします!」
紗良も慌てて頭を下げる。
「……やぁ……」
葵は手だけをひょこっと上げた。
簡単な自己紹介を交わしたあと、
綾音が千夏子と紗良を見て、何か話したそうな表情をする。
「で、今日さ……私たちも出るの?」
千夏子は障害物レースの会場を見ながら聞く。
「私は絶対ムリ……」
紗良はそちらを直視せず、肩を震わせる。
「出なくていいよ。夏だし、海で遊ぶだけでもアリでしょ。」
綾音は気楽に答える。
そして空手道部の一団を見て、
「空手部が大会に出るついでに、うちの行事委員も一緒に出るんだよ。」
と説明した。
千夏子はその言葉に、はっとする。
——そうだ。
あの中に一真がいる。
そして彼女は思わず尋ねた。
「……一真くん、さっきから見えないけど……会場のほう?」
紗良はその名を聞いた瞬間、ぴしっと千夏子を見た。
その目はまるで“宝物を発見した”かのように輝いている。
「もうすぐ来るよ。空手部の人と話してる。」
綾音が答える。
紗良はそわそわと視線を泳がせ、
——もし葵が寝ていなかったら、
何か理由をつけて絶対に一真の近くまで行っていた。
「ところで。」
綾音がふと棠を見る。
「真尋、いつ来るの?」
千夏子と綾音はその瞬間、同じように紗良の表情を見てしまった。
——“真尋を知っている”反応だった。
(あれ……?今日、来る人、全員そろってない?)
千夏子の頭に疑問が浮かぶ。
唯一意外だったのは真尋だ。
彼女の実家からこの海辺までは電車でかなりかかる。
「もうすぐ着くらしいよ。」
棠はスマホを見て答えた。
「あ、でも……氷用のクーラーボックス忘れた。」
綾音は紗良と葵を見比べて困った顔をする。
「飲み物、何がいい?」
綾音が聞く。
「私たちも一緒に行くよ。ついでに何か食べ物も買おうかな。」
紗良が立ち上がった。
「じゃあ、あとは任せて。」
棠は千夏子を見て言った。
「この子のことは私が見てるから。」
「お願い!」
千夏子は軽く頭を下げる。
「棠は何か欲しい?」
千夏子は聞き返す。
「うーん……食べ物がいいかな。飲み物は綾音が買うでしょ。」
棠はあっさり答え、
「もし綾音が忘れたら、殴っていいよ。」
と、冗談めかして付け足す。
「本人いる前で言わないでよ!」
綾音が抗議する。
「聞いてるから言ってるの。」
棠は笑う。
三人が買い出しに行っている間、一真もパラソルに戻ってきた。
「来てたのか。」
彼は棠を見て言った。
「綾音に引っ張られて。」
棠は即答。
その隣に倒れている葵に気づき、
「この子、友達?」と聞く。
見覚えがあるような、ないような。
でも一真は深く考えずにいた。
「うん。他にも来てるよ。」
棠は小売店の方向を見る。
喉が渇いてきた一真は、考えた末、飲み物を買いに向かった。
「さて……面白くなってきた。」
棠がぽつりと呟いたそのとき。
「城戸先輩?」
真尋の声が聞こえた。
「綾音が、すごい人多いって……あれ?」
紗良たちがいないのに気づき、
地面に倒れている葵を見て目を丸くする。
「え、なんでここ、二人だけ?……あれ、兄ちゃんもいないじゃん。」
「買い物。」
棠は一真の背中を指した。
真尋は腰までのショートパンツと、
ジッパーを胸元まで下げたスポーティなパーカー姿だった。
「真尋、大きくなったねぇ。」
棠はしみじみ言う。
「もしかして……三人で買い物行ったの?」
真尋は察しがよく、隣に座って続ける。
「これ、絶対面白くなるやつじゃん。」
「……何を期待してるの?」
棠は苦笑する。
「一応カメラも持ってきた。」
真尋はカメラを取り出す。
棠の表情は、わずかに尊敬混じりの「この子、やるな」だった。
イベントのせいか、屋台周辺は長蛇の列だった。
「来るの早くてよかった……。」
紗良は飲み物のボトルを抱えたままつぶやく。
「でもさ、クーラーボックス持ってくるべきだったよね。」
綾音も両手いっぱいに飲み物を持ちながら苦笑い。
千夏子は袋をいくつも腕にかけながら歩く。
三人は今日初めて顔を合わせたとは思えないほど、
息が合い、自然に会話が弾んだ。
(いや、これ……初対面の距離感じゃなくない?)
千夏子は驚く。
特に綾音と紗良。
性格が外向的な二人は、まるで数年来の友達のように盛り上がっていた。
そのとき、海から戻ってきた一真が見えた。
砂浜用の短パンと半袖シャツ。
夏らしい爽やかな服装なのに、
その顔だけは妙に生気がなく、どこか寂しげ。
三人は同時に歩みを止め、
一真が近づいてくるのを見つめた。
一真は人混みを一瞥し、
当たり前のように手を伸ばした。
「持つよ。」
「えっ!?い、いいってば!」
まず紗良が慌てて反応。
「みんな待ってるから。」
紗良は千夏子と綾音に視線を送る。
「戻ろ、戻ろ!」
綾音も急いで歩き出す。
千夏子は言葉を発する前に、二人に押されて進むしかなかった。
一真は置き去りにされ、ぽつんと立ち尽くす。
「……あれ、あの三人って……そんな仲良かったっけ?」
首をかしげながら、空手部のほうへ歩いていった。
「一緒に帰ってくると思ったんだけど。」
葵は地面から顔だけ上げて言う。
「羨ましいよね……脳内シンプルで。」
紗良はアイスジュースを葵の額に置く。
「ひゃっ!」
だった瞬間、葵は飛び起きた。
「紗良先輩、相変わらずの仲良しだね。」
真尋は海を撮りつつにこにこしている。
「小さい頃からの腐れ縁よ。」
紗良は串焼きを食べながら答える。
「でも、小さい頃からの仲って言えば、綾音先輩と城戸先輩もなんだよね?」
真尋は綾音を撮る。
「てか、なんでそんな写真撮るの?」
綾音が聞く。
「写真部に入ったの。おじいちゃんに古いカメラもらって。」
真尋は飄々としている。
千夏子はふと、
“自分と真尋はほぼ他人に近い”ことを思い出す。
会うのは実家に帰省するときぐらい。
何か言おうとしたその瞬間——
「千夏子さん。」
真尋が紙袋を差し出した。
「え?これは……?」
開くと、中にはクマのマスコットのコンプリートセット。
レアのシークレットまである。
「本当は実家帰ってきたときに渡すつもりだったけど……今日来るって聞いたから。」
真尋は微笑む。
千夏子は胸が熱くなった。
二人だけが知っている“ある意味”を持つ贈り物——。
「なんで千夏子さんだけ!?私らのは!?」
綾音が文句を言う。
「私も!」
紗良も手を挙げる。
「……千夏子さん、スイーツ教えてくれるから。」
真尋は最速で答えた。
綾音と紗良は即沈黙。
千夏子は笑って、袋を大きく開いた。
「じゃあ、せっかくだし……みんな好きなの選んで?」
その瞬間、真尋は連写した。
「何してるの?」
背後から声。
振り向くと一真が戻ってきて、
クーラーボックスを地面に置く。
「飲み物、ここ入れといて。」
淡々と言って、すぐに離れようとする。
「報告してくる。……エントリー。」
そう言い残し、一真は歩いて行った。
「……ねぇ、私たち、水着……着たほうがいい?」
葵がぼそっと言う。
「えっ、二人とも持ってきたの?」
綾音が振り向く。
「え、まぁ……」
千夏子が顔を赤くしながら小さな袋を取り出す。
中には——
例の“小さなリボンのビキニ”。
「荷葉フリル、ほらあんたも。」
葵が紗良に向く。
紗良はその瞬間、
「水田葵!!!」
と一喝し、手刀を落とした。
「ていうか私、真剣に思ってたよ?みんな私だけだろうなって……」
綾音は得意げに自分の水着セットを出す。
「サロン付き!?」
紗良が目をむく。
「へへ、小技だよ。」
綾音は嬉しそうに笑い、棠を指さす。
「先生が私にはこういうの似合うって言ってくれたの。」
紗良は小さく呟く。
「いいなぁ……私なんて……」
「ちょっと!聞こえてるから!」
葵が文句を言う。
「先輩たち、着替えるなら早くね。兄ちゃん戻るから。」
真尋が促す。
「城戸先輩は着替えないの?」
真尋が尋ねると、
「今日、月のもの。」
棠は腹を軽く叩く。
「でもさ……全員ビキニ持ってきてるなんて思わなかった。」
真尋は服を脱ぎ、
スポーティなショートパンツ+ラッシュガード姿になる。
「着るの!?」と棠が驚くと、
「ううん、着ないよ。嘘ついただけ。」
真尋はにっこり笑う。
「だって、誰かが背中を押さなきゃ。
……それにね、兄ちゃんのためにも、ちょっとは必要かなって。」
その声は誰にも聞こえないほど小さかった。
1から10のあいだで、きみに出会う Haluli @Haluli0228
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