兄の彼女
本屋の紙袋を持って、私は駆け足で帰っている。雑誌を無事に買えたのが嬉しくて、今にも飛び跳ねそうだ。
表紙には、現役高校生カリスマモデルの
袋を開けるのを頑張って抑えながら走っていると、見覚えのある人物が遠くに居るのに気付いた。私のお兄ちゃんだ。しかも、知らない女の人と一緒に居る。私は背後から、様子を見た。
あの女の人は誰なのだろう。長い髪にマスクで顔はよく見えない。お兄ちゃんと親しくしているふうに見えたから、知り合いなのだろうけれど、私は知らない。
もしかして、お兄ちゃんの彼女なのだろうか。聞いた事は無いけれど、もしかして知らない間に付き合い始めたのだろうか。気になるけれど、それよりも、早く雑誌を読みたい。
私は、お兄ちゃんを置いて一人で帰った。手を洗って、雑誌を開けて読む。付録はTOAちゃんのビックポスターだった。これは部屋に飾ろう。
すると、一階からお母さんの声が聞こえた。
「
「本当?」
私はすぐに一階に降りてきた。テレビには、バラエティのゲストとして、TOAちゃんが出ている。
「あの子も、大きくなったわね」
「お母さん、知り合いみたいに言うんだね」
確か、TOAちゃんはお兄ちゃんと同学年だったはずだ。学業をしながらモデルをしているらしい。
「そういえば、
「お兄ちゃんは見たけど、声は掛けなかったんだ」
「どうして?」
「それどころじゃなさそうだったから…」
あの女の人が、お兄ちゃんの彼女かどうかは定かでは無いけれど、お母さんは知っているのだろうか。けれど今は、それを話す気になれない。
TOAちゃんの出番が終わって、私は雑誌を読み始めた。ロングインタビューには、TOAちゃんがオーディションを受けた時の事が書かれている。
その中に、TOAちゃんの家族について書かれていた。オーディションを受ける時、一度は反対したものの、今は応援しているらしい。そこで、記者が一番仲の良い家族はと聞いていた。
『離れて暮らしている弟が居ます。あの子が居るから、私は頑張れています』
TOAちゃんに弟が居たなんて、知らなかった。その人は芸能活動はしていないようだけど、どんな人なんだろう。
すると、お兄ちゃんが帰って来る音がした。私は、雑誌を閉じて一階に降りた。
『黒の牢』 無名人 @mumeijin
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