名前も色もない花

天春恋羽

名前も色もない花


私は、ぼくで。

僕は、わたしだ。


君は、普通で。

僕は、有機物。


空は、雲に覆われて。

海は、水より塩が多い。


君の目は、光に満ちていて

月のよう。

僕の目は…

月のない夜のよう。


ある日突然、

暗やみに、一つの星が降ってきて

水たまりにポツンと落ちた。


その周りには、花が咲いた。

その花は、光に満ちた花だった。

名前も色もわからない。



ただただ美しい。



いつからか僕の周りにも花が咲いた。


今の僕の目は、君の光で満ちていた。

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名前も色もない花 天春恋羽 @Nijiironosame

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