神様の花嫁

リラックス夢土

第1話



 おいで………おいで………私の………



 私の前に美しい男性が現れる。



 ああ、今日も逢えた。



 私の心は喜びに溢れる。

 夢の中でのみ現れる彼は私だけのモノだった。



 私は夢から覚めて起きる。

 今日も憂鬱な学校生活が始まる。

 でもいつものように学校生活が終わって夜になって寝ればまた逢える。

 私だけの彼に。



 いつから彼が夢の中に現れたのか覚えていない。

 私の夢の中にしか現れない素敵な彼。

 彼に比べたら同級生の男子などには目がいかない。



 そして私は学校が終わり家へと歩いていた。



 帰り道。私は一匹の猫を見つけた。

 毛の色が銀色で瞳は燃えるような赤い瞳の猫。



 なんて可愛いんだろう。



 私が手を差し伸べて猫に触ろうとしたらスッと猫が路地に姿を消す。



 あ、待って。



 私は猫を追って路地に入った。

 路地には猫の姿はなかった。



 あれ? こんなところに神社があったかな?



 路地の先には古びた神社があった。

 私はその神社が気になり境内へと入る。



 待っていたよ………



「え?」



 私の前に彼がいた。

 夢の中でしか逢えない愛しい彼が目の前にいる。

 長い銀髪に燃えるような赤い瞳。



 おいで………おいで………私の………花嫁………



 花嫁? 私が?



 私はフラフラと彼に近付いた。

 彼は私を抱きしめた。



 捕まえた………



 彼は私の首にその美しい手をかけて力を込める。

 私には抵抗するつもりはなかった。

 だって彼が今まで以上に満足そうな笑顔を見せたから。



 ああ、なんて美しい人なんだろう……

 私は彼の花嫁なんだ………嬉しい……

 やっぱり彼は私だけのモノだった……



 私の心も身体も歓喜に震える。



 薄れゆく意識の中で見た彼はこの世の誰よりも美しかった。






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