BGMのない映画を見ているような、吸音材が敷き詰められた部屋で会話しているような、最低限の音で最大限の表現をしている、そんな印象を受ける小説です。きっと、言葉と共に生きている世界だからでしょう。大切で、力のあるものだとわかっているからこそ、余計な装飾をつけない。淡々としながらも濃密な世界観。朴訥ながらもしっかりとわかるキャラクター。新しいタイプの小説だと思います。今まで感じたことない作品を探している方、一読をおすすめします。
世界観が圧倒的です。そして詩のような文体が多くを語らず、考える余地を与えてくれます。その言葉の隙を読者が埋めながら一緒に物語を進めて行く感じがしてきます。とても読み応えがあると思います。
風を読む青年が、部隊に入るところから物語はスタートします。文章がある意味独特で、直接的で直情的な物言いは少なく、どことなく詩のような印象を受けました。クドい台詞回ししかできない私は勉強になります。ハードな世界観ではあるのですが、そのおかげで小気味良いリズムでお話が進みます。「風」がテーマというところが、文章とマッチしているのかもしれません。総じて読み易い文章ですので、空気が流れるような雰囲気のまま、読み進めることができる作品です。
あえて『カクヨム』で、この物語を書く作者に拍手!
なんという新しい感性だろうか。その一単語のみで世界は動き出す。作者はすでにラストのそのうねりを一瞬垣間見せ、そこに向かうために助走を開始する。この新たな才能はミニマルに情感と世界を組み上げていく。それは詩的であると同時に鮮明なSFのビジュアルだ。とんでもなく凄い。どうかカクヨムのあらゆる書き手と読み手に届いて欲しい。
あらすじが某人気RPGのそれに似ている。
AIに支配された地球で、「風」が命令となり祈りを奪う世界観が圧巻です。その中で主人公ロッカだけが起こせる「祈りの風」が、静かな余韻となって胸に残ります。暴力や絶望すらどこか詩的で、灰の塔との対峙は神話のような美しさでした。風の描写をここまで物語の核にした作品はユニークで、おすすめです!
ヴィクターのキャラがすごく好きです!でも全体の詩的な感じが、雰囲気を作っていて素敵です。風、焦げ、灰……色や音だけでなく触感もを想像させてくれます。とても続きの気になる作品です!
本作は主人公が様々な戦いを通して、成長していく物語です。詩を読み風を動かします。最初は聞くだけ。少しずつ風の会話を重ねていき、共存していく感じでしょうか。本作の時間軸は、流れが早く、護るものの存在が増えていきます。物語の最果てとなる場所は何なのか。これから世界の謎が解き明かされることになっていくかと…成長ものが好きな読者様へお勧めの作品です。一読してみて下さい。
このお話は、壮絶な戦火と灰に覆われた世界、その中で命令ではなく願いによって生きる者たちを丁寧に描きます「仲間を助けたい気持ちが、祈りになって世界を動かした」「詩は命令じゃない。往復だ」「じゃあ、私は生きてる声を運びます」「風よ、笑え。焦げた午後を、覚えていろ」「風よ、逸れろ。命令に触れるな」風好きの私にとても刺さります生き延びること、守ること、日々を記録すること戦争・家族・命・仲間が交錯する中、風が吹き渡りますみなさまもぜひ