残念銀髪魔女、死中の王女様、亡命劇。何も起きないはずがなく……。

 まあちょっと落ち着いて、話だけでも聞いていきたまえよ君。
 なに、決して損はさせない話だ。
 

 いいかね。
 ここに(あなたの隣に大きく両手で円を描く)だよ、
 銀髪ロングヘアで、瑠璃色の瞳をしたちょっとメカクレ美少女がいるとする。
 

 でだ。その美少女が実は魔女で、魔女なんだけど、ポンコツだとする。
 呪文はろれつが回らず言えない。お守りを作れば不格好。
 占いだって、靴でも放り投げたほうがまだよく当たるようなポンコツだ。

 それで、その魔女は、引きこもりなんだ。
 他人と接するのが下手で、初対面だと「ヒッ」とか「アッハイ」とかしか言えない。

 おまけに自己肯定感がナメクジ以下。
 根暗で自己卑下満載で、そのくせちょっと調子に乗るときがある。

 ああ、待ちたまえ! これからいいところなんだよ。
 その魔女だがね、実はチート能力持ちで、キミに対してだけ忠誠心マックスだったら、どうかね?

 想像してごらん。
 銀髪美少女が、キミにだけ、全力で、それこそ死力を尽くして仕えてくれる。

 どうかね。読書家の君なら、きっと想像がついたはずだ。


 で、実はその美少女が主人公の物語が、ここにあるんだ。

 いやぁ、ちょうど残りあと1人分しかないのだが……

 まずは1話だけでも、どうかね?



 なんて、面白半分に書いていますが、
 高度な頭脳戦、歴史劇、魔法体系。
 整合性の整った世界背景に、説得力のある登場人物。
 そうした重厚な要素をライトタッチでうまく包み込んだ野心作です。

 本格志向の方に、強くお勧めします。