今際の魔女が水を差す〜亡命王女の運命上書き合戦〜
チベスナ奇譚
プロローグ
姫はここで死ぬ定めだった。
追手に見つかり、護衛をひとり、またひとりと失っていく。
溢れる涙を拭う暇もなく、忠臣たちに背を押されるまま森の獣道を駆ける。
刃が掠めた腹も、矢を受けた腕も痛む。
その手当もロクに出来ないまま、喪う目前の生命を死から遠ざけるように走った。
あえて、もう一度繰り返そう。
姫はここで死ぬ定めだった。
あと三歩も進めば、伏兵の矢が彼女の心臓に突き刺さる。
しかし、何の因果か。矢が姫を貫くことはなかった。
姫は矢に当たる直前、足もとを踏み外して傍らの傾斜地へと転げ落ちていったのだ。
最期を告げる運命の矢が外れた今、それは新たな物語の始まりに裏返る。
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