いろいろな読み方ができる素敵な物語
- ★★★ Excellent!!!
いろいろな読み方ができる素敵なショートストーリーだと思います。
例えばですが、雄太のお母さんの立場で読むと、彼女の「恐れ」と「愛情」の境界がとても繊細に見えてきて、心が苦しくなります。
彼女は息子を守ろうとしていたけれど、その優しさがかえって雄太の成長のチャンスを奪い、心の優しい彼を縛ってしまっていた、しかし、相撲という“神聖な場”を通じて、雄太が自分の力をどう使うかを理解し、息子のことも自分のことも信じられるようになっていく親子の物語である、とも読むことができますし、
雄太を中心に読むなら、からかわれても怒らず、誰かを思いやる雄太は、本当に強い心を持っている少年だが、母のことを思うあまりその力を発揮できずにいたが、
その強さが「相撲」という神聖な場で解き放たれ、彼が自分そのものを受け入れていく過程であるとも読むことができると思います。
いずれにしても、本当に素敵な物語だと思います。
また、初美の視点を通して、優しさは弱さではなく、真の勇気であることが私たち読者に伝わると思います。
村田さんの言葉や、まわしを締める場面には精神的な成長の姿があり、人の強さと優しさの意味を改めて考えさせられる物語であると感じました。
全世代に読んでほしいです。