『転生』と言う意味だったのだ!!

私はかれこれ……
Li'l Hatter先生という突然現れた作家のことを半年以上研究している。

ふざけてこれを書いているのではない。
本気なのだ。

しかしいまだにこの先生の根っこまで到達できた気がまるでしないのだ。
この作品を読んで、さらに底の深さにたじろいでいる。
と、言っても今までこのLi'l Hatterという文学に触れたことのない人には分かりづらいとは思う。

だから
今から説明をしよう……。



この物語、親友同士の二人の、のほほんとした会話。
と言って仕舞えばそれだけのことだ。
しかしそれはこの物語のいわば表層を滑っているだけに過ぎない。

逆に、なぜそれをわざわざ書いた!? というとろを突き詰めて考えると、
この物語に見え隠れする闇の暗さ(深さではない)に気が付くはずだ。

この二人は、仮想空間。いわゆる『メタバース』で会話をしている。
それは非常に前向きな会話が続き、まるで人生の希望を謳歌しているかのような会話だ。

……なぜ、二人はメタバース、つまりバーチャルエメラルドに来たのか?
物語はそこには触れない。だから、こちらで想像する必要があるのだ。


ヒントはセリフに隠されている。
この物語にこんなセリフがあるのだ。


「メタはヘブライ語で『死』を意味する言葉なんだって」

これを聞いた時、私は強烈な寒気を覚えた。
それは、なぜこの先生はヘブライ語にこんな詳しいんだ!? というのもあるが、それだけではない。

ここで唐突に、読者に『生』の中にある『死』を想像させてくるのだ。

メタバースつまり、

メタは『死』
バースは『産まれる』という意味。お気づきになっただろうか?


死んで産まれる。つまり……これは転生の物語なのではないだろうか?



この物語のサブタイトルは、
『緑色は不老不死の象徴』
つまり死後の世界で永遠に生き続けることを意味する。


そしてこの物語の元ネタは、オズの魔法使い。

ドロシーがエメラルドシティに行った経歴は、
竜巻に飲み込まれたから。つまりここで、ドロシーは死んだという説まで存在する。

グリとヴェストが、この『転生後』の世界にきた経緯は不明である。
しかし、
おそらくグリは……ヴェストを追って、「体を捨てた」そうなのでもしや……
と、考えてしまうがどうだろう。

私が考察できたのはここまでだ。

読者の数だけ答えがあるのだろう。

逆を言うと、それほどのキャパシティがこの物語にはあると言う意味だ。




改めて、このLi'l Hatterという先生の奥行きの深さを痛感させていただいた作品である。




お勧めします。
是非、ご一読を。