グリとヴェストはずっとなかよ"し"
Li'l Hatter
緑色は不老不死の象徴
「ここがバーチャルエメラルドシティか……!」
水色のドレスを身に待とう女性アバター"グリ"は、バーチャルエメラルド駅を降りると、そこは緑色に輝く街が広がっていた。
「見渡す限りの街並が、緑! 緑! 緑! あははは! まるで蛇色の街ね!」
その異様な光景に、彼女は楽しそうに笑っていると、後ろから「背後がお留守だぜ?」と聞き覚えのある声がした。グリはハッとした表情で振り返ると、そこには黒を基調とした魔女の服を着用した女性が立っていた。
「久しぶりだなグリ! 元気してたか?」
「ヴェスト!? ずいぶん様変わりしたね?」
"ヴェスト"と呼ばれる女性は、グリの高校時代からの親友で、20年ぶりの再会である。
「だろ? ウチの衣装、悪しき
そう言ってぐるっと一周回って見せびらかすヴェストに、グリは苦笑いを浮かべる。
「あはは……厨二病なところは相変わらずだね」
「まぁな! グリの着ている衣装も中々イカしてるぜ! ガラスの靴とか似合いそうじゃん!」
「誰がシンデレラじゃ!」
ヴェストのボケにグリはビシッとツッコミを入れる。
「ハハっ、冗談だって! まぁ、ここで立ち話するのもなんだし、今からウチの行きつけの喫茶店に行かない?」
「行く!」
2つ返事で答えたグリに、ヴェストは「よし、じゃあウチについて来い!」と言って西に向かって走りだした。
「えっ、ちょっと!? そこは魔女らしく箒に乗って飛ばないの〜?」
∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞
「しっかし、電話で聞いた時は驚いたよ。『地球で生涯を過ごす!』って言ってたあのグリが、まさかここに移住しに来るなんてさ〜」
喫茶店へたどり着いた魔女の2人は、テーブルに座ってコーヒーを飲みながら雑談をしていた。
「うん。確かに若い頃はそう言ったんだけど、歳を重ねていくうちに"死"が一歩、また一歩と近づいて来るのが怖いと感じるようになってさ……それに……」
「それに?」
ヴェストは聞き返すと、グリは照れくさそうに頭をかきながら「ヴェストにまた会いたくなったからって理由もあるんだ〜」と答えた。
「そっか。身体を捨ててまでウチに……会いたかったんだな……!」
ハンカチで目元を押さえ、言葉を詰まらせながら話すヴェストに、グリは「もぉ〜、泣かないでよ〜。これからはずっと一緒なんだからさ〜」と宥めるように優しい口調で問いかけると……
「すまん、最近目の痒みとくしゃみが酷くて……」
「花粉症だよそれェ!」
泣いていると見せかけたボケに、グリは思わずツッコミを入れた。
「後でちゃんと病院に行きなさいよ?」
「ハハハっ、ごめんごめん……あ、そうそう話は変わるんだけどさ〜」
ヴェストはズレた返事で話題を変え始める。
「グリはさ、"メタのヘブライ語"の意味って知ってるかい?」
「唐突だね〜、もちろん知らないけど?」
「……"死を意味する言葉"なんだってさ」
そう言ってアゴを上げて、意味深な表情でこちらを見下ろす黒き魔女に、グリは「やぁぁーーーっ!!」と叫びながらヴェストの頬にベチィン!っとビンタを喰らわした。
「いたっ!……って何すんねん!」
「私たちがちゃんとこのメタバース内で生きてるかどうか確かめたくて、つい手が……!」
「いや、ウチで検証すんなしっ!」
ボケとツッコミの掛け合いをしていると、カフェ店員(NPC)に呼び出されて軽く注意された(そりゃそうじゃ)
……3分後。
「私たちの土下座で、なんとか出禁は免れたね!」
「たっく〜、少しは恥じらえっての」
ほっと胸を撫で下ろす2人は、テーブルの席に戻る。
「じゃあ気を取り直して……グリの第二の人生に乾杯すっか!」
「だね!」
そう言ってお互いが手に取ったコーヒーカップを軽くぶつけて「「Prost!」」っと挨拶を交わした。三☕️☆☕️三
「ところで、グリはどんな家に住みたい? メルヘンな家? 和風な家?」
「うーん、まだ決まってないかな〜」
「それともウチと同居する?」
「`;:゙;`;・(゚ε゚; )ブフォッ!」
おしまい☕️
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──そして時は流れ、遠未来。舞台は現実世界の海に浮かぶ海上都市"OSAKAエメラルド"。その内部にある商業エリアで、人気メイドカフェ"OZ"がありました。https://kakuyomu.jp/works/16818622171157338143
グリとヴェストはずっとなかよ"し" Li'l Hatter @lilhatter
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