第4話 緑龍の国 ジェード

 緑龍りょくりゅうJade(ジェード)のくにたか建物たてものしろしかなく、かうことができた。なにせ森林しんりんおおく、住宅じゅうたくがあまりえない。大通おおどおりからしろけるほど、みちかぎられていた。木々きぎおおいため、おおくはないがむしんでいる。


 

「クイーンは意外いがいむしとか平気へいきなんだね。」

 とクイーンがむしおどろ様子ようすがないため、レディがいた。まえある婦人ふじんたちんできたむしおどろひとすくなくない。

「そうね、自宅じたく周辺しゅうへん手入ていれをするときむしがいるのにれたからね。いま平気へいきよ。」

 元貴族もときぞくとはいえ、せつない事情じじょうだった。伯爵はくしゃくであったクイーンのちち病死びょうしし、あに婿養子むこようし子爵ししゃくになってしまったあとのため、クイーンがこと出来できたが元々もともとクイーンのこと面白おもしろおもっていなかった王家おうけ爵位しゃくい剥奪はくだつしてしまい、クイーンは元貴族もときぞく一般市民いっぱんしみんになってしまった。剥奪はくだつともに、何戸なんこかあった屋敷やしきられたが、一番いちばんちいさな屋敷やしきまもことができた。クイーンがまれそだったいえだった。



 しろちかづくと、もんまえひとがいた。深緑ふかみどり髪色かみいろをした男性だんせいだった。オールバックにまとめている。

「ようこそ、Jade(ジェード)のくにへ。こうにはいないむしとかいたでしょう?大丈夫だいじょうぶでしたか?」

ぼく彼女かのじょ平気へいきなので大丈夫だいじょうぶでした。お気遣きづかいありがとうございます。」

 とレディがうと、かれはにこやかになかはいるようすすめた。あるきながら、かれ自分じぶんがジェードであると名乗なのった。もうすこしでよるになるからとまっていくといいとすすめてくれた。

 会議室かいぎしつ案内あんないされ、すわった。まずレディが開口一番かいこういちばん

「あのけんなのですか……」

 とはなしかけた。

「はい、現状げんじょうはどうでしたか?」

 とジェードがかえす。

「Maize(メイズ)のくにはなれるさい、Lava(ラヴァ)の上空じょうくう白龍はくりゅうんでいるのがえました。しかし、気配けはいえたりかんれたりをかえすんです。」

「ふむ……やはりあのはあのくににはいるということなんですね。」

 とジェードが口元くちもとでムニムニうごかしている。

「ここには一度いちどていないですか?」

 とレディがくと、くびよこり、

ていない、いつも気配けはいさがしてはいるが、一度いちども。」

「そうですか…つぎはCrimson(クリムゾン)にこうとおもってるんです。彼女かのじょ家族かのじょもいるそうなので。」

 とレディがうと、ジェードがクイーンにをやる。

「そうですね、クリムゾンならなにってる可能性かのうせいもありますからね。あののことも、おじょうさんさんのご家族かぞくのことも。」

 とにこ…と微笑ほほえんだ。クイーンはどきりとする。



「さ、今日きょうつかれたでしょう。湯船ゆぶね用意よういしてますから、今日ぎょうはゆっくりやすんでください。くにはあまりいそがしくないので……」

 とさびしげにジェードがはなす。いつまでもいてもいいんですよ。客人きゃくじんなんて滅多めったないのでとどんどんネガティブになる。女性じょせい案内役あんないやく交代こうたいし、ジェードはおやすみなさ〜いとわかれた。



 ジェードの配慮はいりょもあってか二部屋ふたへや用意よういされていた。クイーンが荷物にもつき、レディは入浴にゅうよくった。レディの入浴にゅうよく一瞬いっしゅんで、クイーンに入浴にゅうよくうながした。

ぼくないから!あったまって!」

 と、クイーンの背中せなかした。

 カーテンで仕切しきった入浴室にゅうよくしつ衣服いふくをカゴにれ、湯船ゆぶねはいった。レディが魔法まほう綺麗きれいにしちゃうねと洋服ようふくたちをふわりとかせ、まえ状態じょうたいにした。クイーンはカーテンごししにふわりとかぶ洋服達ようふくたち現実味げんしつみびておらず、わたしきているんだよな?とほほをつねった。いたい。

 綺麗きれいになった下着したぎ用意よういされた寝巻ねまきに着替きがえ、タオルでかみきながら寝室しんしつもどると、ソファにちょこんとレディがすわっていた。

「おや、っていてくれたの?」

 とレディにうと、レディが自分じぶんとなりるようポンポンとソファの座席ざせきたたく。うながされるまま、クイーンはとなりすわる。クイーンのかみがまた、ふわりとかびかみかわかされる。ながかみがあっというかわきクイーンはおどろいた。



 二部屋ふたへや用意よういされていたが、レディが荷物にもつってクイーンの部屋へやていた。さびしいのかな?とおもったクイーンは、

一緒いっしょる?」

 とレディにくと、こくんとうなずいた。どものように大人おとなしくベッドについてきて、一緒いっしょとこについた。

 紺色こんいろのさらさらのかみでるとウトウトしはじめた。まるまってねむ様子ようす幼子おさなごのようだった。

はや大人おとなになりぎたのよ……大人おとなたよりなさい……」

 とクイーンもそのうちねむりについた。


 


 レディのども体温たいおんのせいであつくなり、クイーンは無意識むいしきのうちに毛布もうふいだ。徐々じょじょさむくなり、ブルっとふるえたがそっと毛布もうふがかけられる。クイーンがうっすらますと、視界しかいにはしろうまえた。ふわふわやわらかそうな毛並けなみのポニーのようにちいさめなうまだ。意外いがいこわいとはおもわなかった。なぜか安心あんしんしてしまい、ふたたふかねむりについた。




 朝日あさひみ、まぶしさでます。ふところにはまるまったレディがいた。ムクっと上体じょうたいこすと、朝日あさひのぼはじめている。まどけると、早朝けささむさでふるえ、いそいでめた。

 レディもまし、こすっている。

「おはよう。」

 と元気げんきこえをかけるクイーンをて、

「おはよう、あさから元気げんきだね。ぼくあさ苦手にがてだよ。」

 とゆっくり行動こうどうはじめる。低血圧ていけつあつなのか、日中にっちゅう活発かっぱつさとは雲泥うんでいだ。



 もそもそと寝巻ねまきを着替きがえ、かみ魔法まほうでまとめている。あっというわってしまい、クイーンがあせってしまった。

「ゆっくりやって」

 と一言ひとことい、ベッドにボフンとまたてしまった。

 あさよわいとは意外いがいだなとおもいつつ、ゆっくり支度したくはじめた。

 支度したくえ、しばらくすると昨日きのう案内役あんないやく女性じょせい部屋へやたずねてきた。朝食ちょうしょく用意ようい出来できためべてかないかとことたったのでせっかくならいただいてこうとおもい、レディをこした。パッチリましたレディはワクワクで朝食会場ちょうしょくかいじょうかった。



 ジェードが丁度ちょうど到着とうちゃくし、とも朝食ちょうしょくをとった。ジェードは男性だんせい姿すがたではいるものの、やはり性別せいべつはないようだった。メイズほど達観たっかんした雰囲気ふんいきく、遠慮えんりょがちな人間味にんげんみつよいタイプだった。そのためかクイーンにとっても、はなしやすい雰囲気ふんいきがありクイーンの実情じつじょうはなした。レディの想像そうぞうはなすと、ジェードはうんうんとやくまわった。



「その考察こうさつっているかもしれません。実際じっさいてみないとわからないこともありますが、わたし気配けはいさがしたことはあります。気配けはいかんじるときかんれないときがあるのも、ってます。」

 とジェードはレディのかんがえに肯定こうていした。

わたしはこのくにからこといま出来できません。セレストが許可きょかせばくに一時いちじはなれることは出来できますが、いまはそのときではないのかもれません。もし、あなたがただけではあぶないとき私達わたしたちけつけます。いつも見守みまもっています、あのさがしてもらえますか。」

 とジェードはぐ、レディとクイーンをった。



私達わたしたちにできることならば、全力ぜんりょくくします。」

「もちろん、そのためていますから!」

 とクイーンはがり、となりでレディはウィンクしていた。




 

 すっかりたかのぼったころしろ出発しゅっぱつした。

 ふたた電車でんしゃり、今度こんどはCrimson(クリムゾン)へかいはじめた。

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レディベロアとクイーンルージュ 深海 @4-8-6-9-

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