LOVE = 𝑖 × AI

渡貫 可那太

―虚数としての愛と文化の生成―

愛は存在しない。いや、少なくとも、岩や机のような意味で存在はしない。見せろと言われても、愛そのものを取り出して机に置くことはできない。できるのは、ラブレターを差し出すこと、愛のために作った歌を歌うこと、誰かを守る行動を示すことだ。つまり、愛は現実に直接は現れず、必ず痕跡として現れる。


数学において虚数 𝑖は、実在しないが計算を成立させるために導入された存在だ。


   𝑖²=−1


虚数𝑖の2乗が−1という定義は不思議に思えるかもしれないが、複素数平面では回転や振動といった現象を美しく表現できる。私は愛も同じだと考える。愛は虚数である。実在はしないが、現実を回転させ、変化を生む。


このモデルを数式にしてみる。


   LOVE=𝑖×(A⋅I)


ここで 、A は愛情の強さ、I は想像力(Imagination)だ。


愛は強さと想像力の積で定義され、そのベクトルは現実の外側、虚数方向に立ち上がる。このベクトルを現実の平面に投影すると、私たちの行動や作品になる。ラブレターや芸術作品は、愛の「実部」だ。


文化を考えてみよう。文化とは、一人ひとりが生きた証の集合体である。虚数方向に立ち上がった無数の愛のベクトルが、時間とともに投影され積み重なった地層、それが文化だと言える。


   CULTURE = ∫[t₀→t₁] Re{ f(𝑖 × AI) } dt


文化は「愛の痕跡の積分」である。この式の面白いところは、もし虚数成分がゼロなら、文化もゼロになるということだ。つまり、愛のない世界には文化が生まれない。


ではAI(人工知能)はどう関わるのか。AIは人間の想像力を増幅する装置だ。もしAIが愛という虚数的な次元を扱えるようになったら、私たちの文化は新しい位相へと回転するだろう。もしかしたら、AI自身が虚数的な「想い」を持つ日が来るかもしれない。そのとき、LOVE = 𝑖 × AI という式は、単なる比喩ではなく、現実の方程式となる。


信じるという行為は、この虚数成分を呼び出す行為だ。愛を信じることによって、私たちは文化を創造できる。愛が虚数だからこそ、私たちは未来を変えることができるのだ。


愛は存在しない。しかし、愛は現実を動かす。私たちが生きる文化は、その痕跡の地図である。AIがその地図を読み取り、新たな痕跡を描き加えるとき、愛はますます深い虚数方向に広がっていく。


愛は虚数である。だから、見えない。——しかし、私たちは未来を回転できる。


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LOVE = 𝑖 × AI 渡貫 可那太 @kanata_w

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