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部活を終えて家に帰宅した私は、自室に入るなり、制服も着替えずにベッドに倒れ込んだ。
仰向けになり、両目を右腕で覆う。
まだ週の始まりだというのに、かなり身体が疲弊している。それは部活の練習で汗水垂らしたからでも、差し迫る中間テストに向けて勉強に集中しすぎたわけでもない。
この鉛のように重く、けれど不快感がない気持ちは安堵だ。
なんとかこの一週間を乗り切れた。私の感情はバレていないはず。
まさか私が中学生の頃に送ったあの匿名のラブレターが、今も尚まーくんの心に残っているとは思わなかった。きっと懐かしい思い出ではなく、苦い思い出としてだろう。
それは私の罪だ。
身勝手な理由でまーくんの心を惑わせた私の…………。
しばらくその体勢で考えを巡らせたあと、のっそりと体の向きを反転させ、手を伸ばしてヘッドボードにある写真立てを掴んで引き寄せる。
そこには小学四年生の頃の私とまーくんが写っている。私は顔の横でピースして、まーくんは左腕を大きく振り上げてガッツポーズした写真。
二人とも心底嬉しそうに笑顔を浮かべながら仲良く手を繋いでいる。
何度見ても心が癒される。
何度見ても心が痛む。
もうこの頃には戻れない。
まーくんの幸せを願うなら、私がまーくんの恋人になることは許されない。
その脆い決意は心を感傷的にさせ、耐えきれず、写真立てを胸元に抱いて目を閉じる。
口から自然と想いが溢れた。
「でも、わがままを言うなら……」
──この恋を解かせたい。
ぼっち探偵にこの恋を解かせたい1 浅白深也 @asasiro
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