繊細系彼女召喚セット（プレミアムナイトver.）

繊細系彼女、帰還！

　俺、太田将（おおたまさる）。33歳、独身。あの『繊細系彼女召喚セット』（税込19,800円）のミユキとの10日間が忘れられず、3か月後の今、また怪しい通販サイト「damason」を覗いてしまった。

　そしたら…あった。『繊細系彼女召喚セット～夜の営み対応バージョン～』（税込60,000円）。商品説明はこうだ。

「繊細で守ってあげたい彼女が、さらにパワーアップ！ 家事スキル抜群、優しい性格はそのままに、夜の営みにも対応！ 情熱的なひとときをあなたに。但し、開発途中のため効果は10日間です。繊細さゆえのハプニングにご注意を！」

　レビュー欄は「濃厚すぎて腰抜けた」「繊細なのに大胆！」とカオス。60,000円は痛いけど、ミユキの笑顔とあの日々が脳裏にチラつく。躊躇いなくポチった。俺の財布、泣いてる。

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　翌日、届いたのは前回よりデカいハート型パッケージ。ピンクからゴージャスなワインレッドに進化してる。中にはキラキラの水晶玉と説明書。で、説明書の絵はやっぱり『北●の拳』の某聖帝。大丈夫か、著作権。

「水晶玉を握った腕を天に向かって伸ばし『愛の彼女よ、来い！』と叫ぶ！」の一文。俺は気合入れて叫んだ。

「愛の彼女よ、来い！」

　部屋が眩しく光った瞬間、ドドドッ！ 家が揺れた！ 震度4くらいの地震！ 慌てて机の下に隠れようとしたら、揺れがピタッと止まり、目の前に現れたのは…ミユキ！ 栗色のロングヘア、潤んだ瞳、ふわっとしたワンピース。でも、なんか色っぽいオーラが…。

「将さああん！ 会いたくて…会いたくて…震えてたのぉ！」

　ミユキが抱きついてきた。震源地、お前か！ でも、めっちゃ可愛い。抱きしめ返すと、ミユキの体が小刻みに震えてる。「将さん…やっと会えた…ドキドキして…」って、顔赤すぎ！ 地震は初回だけらしいけど、この繊細さ、健在だな。

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　初日は前回同様、家事スキルが神。部屋はピカピカ、晩飯はチキンカレー。スパイスの効き具合が絶妙で、俺、感動で泣きそう。

「ミユキ、最高だよ！」

「将さんに喜んでもらえて…私…嬉しい…」

　いや、泣くな！嬉しいのは分かってるけどカレー冷めるぞ！

　でも、夜の営み対応バージョンの片鱗も見えた。食後、ミユキが「将さん…隣、いい…？」とソファでピタッとくっついてきた。心臓バクバク。手を握ろうとしたら、「きゃっ…将さんの手、あったかい…恥ずかしい…」と顔を隠して震え出す。繊細すぎるだろ！

　結局、その日は手を握るだけで終了。60,000円の元、取れるのか…？

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　3日目、ミユキの繊細さはエスカレート。

　俺が会社から帰ると、「将さああん！ 8時間も離れて…私、寂しくて…心が…！」と号泣。抱きしめようとしたら、ミユキが作った味噌汁が床にドバっと。「あ…私が…ごめんなさい…」とまた泣く。

　俺、床拭きながら「大丈夫！ 味噌汁はまた作れるよ！」と励ますも、内心「このパターン、前回と一緒じゃん…」とデジャヴ。

　夜、ミユキが「将さん…私、頑張って…寄り添いたい…」と、俺の肩に頭を乗せてきた。めっちゃいい匂い。ドキドキして「ミユキ、めっちゃ可愛いよ」って言ったら、「そ、そんな…急に…心臓が…！」と真っ赤になって倒れそうに。慌てて支える俺。寄り添うだけでこの騒ぎ。夜の営みまでは遠いな…。

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　7日目、ついに進展。

「将さん…私、将さんに…もっと近づきたい…」

　ミユキが潤んだ目で俺を見つめてきた。空気が変わったのがわかる。ドキドキしながらミユキにそっと顔を近づけて…キス！ 柔らかくて、ほのかに甘い。ミユキ緊張が伝わってくる。

「将さん…私、初めてで…ドキドキして…」

「いいよ、大丈夫だから（俺も童貞だし…とは言えないな）」

　ミユキの顔真っ赤。俺もだけど。でも、このキスだけで心臓が限界。夜の営みはまだ先か…。惜しい！

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　9日目、奇跡が起きた。

「将さん…私、覚悟決めたよ…」

　ミユキはいつもより大胆な目で俺を見た。え、マジ？ 部屋の明かりを落とすと、ミユキがそっと俺の手を握ってベッドへ。繊細なミユキが、まさかの情熱モード！やる気スイッチON！

　俺が思ってたより激しく、濃厚で、一晩中…何回も！ 詳細は省くけど、俺、危うく昇天しかけた。我が生涯に一片の悔い無し！

ミユキの「将さん…大好き…」って囁きが、頭から離れない。60,000円、完全に元取ったぜ！ヒャッハー！

　でも、終わった後、ミユキが「将さん…私、恥ずかしくて…でも幸せ…」と涙目で震え出した。繊細さは変わらず！ 抱きしめながら「ミユキ、最高だったよ」って言うと、ニコッと笑ってくれた。心臓、休ませてくれ…。

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　10日目、効果期限当日。ミユキは「将さん…私、消えちゃうけど…将さんのこと、ずっと忘れない…」と涙ながらに言う。俺も目が熱い。「ミユキ、俺もだ。ありがとう」って言うと、ミユキは最後にキスして、キラキラ光って消えた。部屋には、ミユキが作った完璧なハンバーグと、俺のぐちゃぐちゃな心だけが残された。

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　後日、damasonにレビューを投稿。「繊細すぎてハプニング連発だったけど、愛は本物。夜の営み対応版、60,000円の価値ありすぎ！」と書いたら、運営から「次は30日間効果版を開発中！」と返信。マジかぁ…貯金始めなきゃ。

（終）