B視点
オレンジのミサンガを足首に巻いたとき、私は少しだけ満足感を覚えた。
――これで「私たちは友達」って、周りからも見える。
けれど、それ以上の意味はなかった。
Aはうるさい。声が大きいし、感情の起伏が激しくて、いちいち反応が大げさ。ああいう性格の子はクラスの中心に立つけれど、長く一緒にいると疲れる。だから私は心の中で線を引いていた。
「この子は“利用できる子”だ」って。周りに注目されやすいAといれば、自然と自分も目立たなくて済むし、孤立しない。それで十分だった。
緑のミサンガをつけた子も同じ。確かに話は合わせてくれるし、表面上は仲良く見える。でも、私にとってはただの「駒」。お願いごとをすればだいたいやってくれる。もし渋れば、「この前やったじゃん」 と言えばたいていは動いてくれる。貸し借りを意識させておけば、私の立場は崩れない。
友情?
そんなもの、最初から信じてない。
私にとって人間関係は計算でしかない。得か損か、 それだけだ。
オレンジのミサンガを見下ろす。糸が光に透けて見えて、どこか安っぽい。けれど、これをつけている限り、周囲は「仲良し三人組」だと思ってくれる。 それで十分。
だって――Aもあの子も、私のことを本当の友達なんて思っていないだろうから。
ミサンガの友情ごっこ @MOA_1205
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