月の上でのささやかな暮らしを君と
- ★★★ Excellent!!!
月の重力は地球の6分の1らしい。心の重力もその分軽くしてくれるような、そんな優しい物語です。
月面都市に移住した二人の話。
同級生だった二人は地元で再会し、仕事の都合で月面都市へとともに移住する。
ささやかな生活は決して劇的ではないけれど、そこが月の上というだけで描写一つ一つがロマンを感じさせます。
説明も必要最低限で、物語と舞台が綺麗に融合していて違和感なく夢中になれました。
特に、月面ならではの雨の描写…!これが本当に素敵だった…!
そして宇宙での危険な仕事に従事する人々が利用する「遺言管理センター」という仕事がとても印象的でした。何もかもが新鮮なのに、以前から知っている世界のように優しく物語に溶け込んでいます。
そんな月面ならではの世界で、二人の優しく切ない思いが絡み合い、最後まで読み終えた後にじんわりと温かな余韻が残ります。
この無重力読書体験をぜひ味わってみてほしいです。