あとがき
まず最初に、ここまで読んでいただきありがとうございます。みなさんのお陰で、私は創作の趣味を続けることが出来ています。この場をお借りして、大きな感謝をお伝えします。
はじめての短編小説とあって、私自身が今回のお話について色々と考えるところがありましたので、あとがきを書いてみたいと思いました。
至らない点の「罪滅ぼし」というか、「禊」というか……。
今回のお話は、女性アンドロイドと男性主人公のつまらない日常のワンシーンですが、多層的に意味を織り込んでいます。
表層はタバコを吸うだけのお話ですが、中層は「性的な暗喩」とそこから漂う「退廃」です。それらは、主人公やイエナの行動や会話の中で重いBGMのように漂うようにしました。
そして深層については、「タナトス(死の欲動)」です。
アンドロイドであるイエナは、ウソ偽り無く主人公を愛しています。そして自分が、買われたり捨てられたりする存在である事も理解しています。
ですので……「プログラム上の愛情」に必死にしがみ付いて、主人公の興味を引こうとしています。
だからイエナの思考は歪んでしまっていて、主人公への愛ゆえの「生命への嫉妬」まで落ちてしまっています。サケの生命のサイクルを使って、命を皮肉ってるわけです。
さらに主人公については、ただタバコを吸っているだけじゃ無くて、全てを許容してしまっている状態です。人生に疲れた彼は、あらゆる選択肢を放棄してただ無為に時間を浪費しています。
これらを描くことで、この物語は「タナトス(死の欲動)」を誇張すること無く、シンプルな形で美しく見せることが出来ると考えました。
だからこそ僕は、「タナトス(死の欲動)」を肯定するわけでも否定するわけでも無いです。ただそれは、日常的にどこでもある普遍的なものだと思っていますから。
またこの物語には、他にも深層が存在します。ただそれは明言しません。それこそが、読者さんの感情に委ねる部分だと思うからです。
以上、あとがきとして。
ホメオスタティック | レイディ えいとら @nagatora
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