「一度、本気で全力の長編を書いてみたい。できれば商業化も目指したい」
そう考えて、カクヨムコン向けに長編を書き始めました。
題名は『トキシックオーバークロック』。
設定、世界観、キャラクターは長年温めてきたものなので、その点については万全のつもりでした。
大筋は、少年成長ものの王道ファンタジーです。
ただ、テンプレをたくさん読んだわけではないので、とにかく自分にできる限りの深層テーマを注ぎ込みました。
そして出来上がったのが、ジャンルで言うなら
「異世界転生+スチームパンク+純愛+宗教+ラブコメ+TS+オネショタ」という、どう考えても妙な小説でした。
なので、最初に自分で頭を抱えました。「これ、誰が読んでくれるんだ……?」と。
ついでに試作段階ではAIにも意見を聞きましたが、「設定が重すぎる」「シリアスや宗教展開にエロをぶち込むな」などと散々であり、正直、「執筆をやめようか」とも思いました。
しかし、『トキシックオーバークロック』の主題は、「全力で書いて、商業化を目指すこと」です。
だから、止まるわけにはいきません。
実際、自分でもこのプロットはどこか“異形の塊”のように感じていました。それでも同時に、燃えるような創作の胎動もはっきりと感じていたので、書くことに決めました。
当初のプロットは50万字を超える超長編でした。ですが、それではカクヨムコン期間中に完結させるために、毎日2話投稿し続けなければなりません。デスマラソン気味の本業と並行してそれをやるのは、さすがに自殺行為です。そこで泣く泣く、20万字規模にまで圧縮しました。
7万字あたりまでは比較的スムーズに書けました。冗長な部分を削りながら進められて、まだ余裕もあった気がします。
けれど、そこからが本当の地獄でした。急に筆が止まり、執筆速度が大きく落ちました。
脳内にはちゃんとプロットがあり、設定も整っている……はずなのに、書けない。そうこうしているうちに、12月になってカクヨムコンが始まりました。
——毎日投稿で減っていくストック。
——それに伴って増える改稿。
——本業の過酷さ。
ストレスで、バーガーキングで巨大なワッパーを何度かやけ喰いしたぐらいです。
さらに私生活の環境変化も重なって、かなり本気で死にかけました。
「なぜこんな苦しいことをしているんだろう」
「そもそもこの小説は世の中に求められているのか」
「何の意味があるんだ」
「でも執筆は楽しい」
「少しでいいから休みが欲しい」
「上司が憎い」
そんな雑念と苦痛と、わずかな快楽が高濃度で混ざり合った二ヶ月でした。
あまりに辛くて、正直あまり思い出したくないくらいです。というか記憶がやや朧げです。大丈夫か?僕。
だからこそ、中間選考突破という結果は、本当に嬉しかったです。
長々と書いてしまいましたが、おかげさまで今年の前半は、これまでの人生の中でも最も苦痛と快楽に満ちた時間になりつつあります。
読んでくださった読者の皆様、応援してくださった皆様、そして支えてくれた妻に、心から感謝しています。本当にありがとうございました。