孤独の宿命に手向けの花を

 非常に世界観の設定が細かく濃密で、しかも次々と物語が進んでいくため、頭の中で色々整理しながらじゃないと、世界観を理解するのがやや難しいかも。ぶっちゃけて言うと、簡潔でわかりやすい、読みやすい物語を求めている人には向かないと思います。異変が起きた世界を救うために王国から遣いが派遣されるのは、ファンタジーの王道中の王道で非常にわかりやすい展開ですけど。
 でも展開がぐだぐだになることはなく次々と何かが起き、謎や秘密が明かされ、謎が深まり、この先どうなるの? というハラハラが絶えません。堕天使に悪魔にカミサマに巫女にと、誰が何を三人にしてくるのか予想もつかない。しかも、あらゆる設定が終章に向けて整えられている。本当によく考えられた作品だなと思います。

 個人的には、海神が相手だろうと王命があろうと己の考えを貫く騎士が印象深かったです。破壊衝動に飲まれているように見えて実は違う星神もいいですが。