葬り去られた神(この表現は適切ではないのですがネタバレ防止と言うことで。。。)を題材とした幻影的な小説でした。日々何気なしに通り過ぎる祠、或いは神社にどれだけの人の思い、そして歴史がつまっているのかを考えさせられます。柳田国男や宮本常一、特に泉鏡花などの本が好きならば是非ご一読をおすすめします。
移りゆく時代に翻弄されるのが人ならば、人に作られた神もまた翻弄される運命にある。だが、かつて神と呼ばれた者、あるいは神と呼ばれる者、それそのものは変わることはなく脈々とそこに存在し続ける。
明治末期、国家主導による神社合祀を題材に、青年の不思議な体験をつづった物語。 彼の会ったモノはその後どうしているのか。 消えてしまったのか。 それとも案外元の場所で人間に舌を出しながらのほほんとしているのかもしれない。 いろいろとその後を想像するのもこの作品の楽しみ方なのやも知れない。