30
「くそ!最近モてると思ったらあのめぎつね、最初から細工にきづいていたなんて!」
アンドレアは含み笑いをしていた。
「アンドレア!お前にも心当たりがあったんじゃないのか!」
「いや?」
「姫はずっとオレのことをグレイプニルだと呼んでいたよ」
「王になれるチャンスを逃した!こんなつまらないことでな!」
グレイプニルは壁を蹴って悔しさをぶつけていた。
「なああんた、俺をなんだと思ってる?」
アンドレアは唐突に質問を投げかけた。
「昔オレのものは自分のものだって言ったよな」
「本当は何者なんだ、琥珀の剣に聞いてみろよ」
「俺が何者かだって?俺はただの詐欺師だよ!
貴族をちょちょっと騙して爵位をくすねて、
やっと手に入れた地位を使ってボランティア活動をやってな」
「書類屋やらと共謀してな、はははは!」
「この琥珀の剣は、強盗して奪ったものさ、
アンドレア、お前がやってきたことと何も変わらないだろう?」
「なるほどな、たしかに昔の俺そのものだ」
「俺が死ぬほど殺したい自分に」
アンドレアは笑いながら剣を抜いた。
「オレのものはオレのものだ」
アンドレアはしっかりと固まった殺意をグレイプニルにぶつけた。
「おまえが……俺を刺すなんて!?」
グレイプニルはその場に血を流して倒れた。
「どうしてお前を刺したのか、わかるか?」
グレイプニルは息も絶え絶えに助けてくれと言った。
すぐに兵が現れ、アンドレアをがんじがらめにし、アンドレアは逮捕されることとなった。
シュバイル国の刑は重い。
グレイプニルはふてぶてしくも息を吹き返し、
牢獄に繋がる道にソフィアが立って待っていた。
思わず駆け寄って話しかけた。
「アンドレア」
疲れた笑顔を見せ、無理してアンドレアは顔をソフィアの方向に向けた。
「あんた綺麗になったよな、グレイプニルに惚れていたからかな?」
「ありがとうアンドレア、私、お前が出てくるまで待ってます。ずっと」
シュバイル国の3年後の春、新しい王が、即位をし、シュバイル国に新しい時代が開けようとしていた。
人々は歓迎しているとは言えなかったが、立派な統治を行い、数百年の繁栄をもたらしたそうである。人々は王のことをこう呼んだ。
父殺しの王だと。
その騎士が敵か味方かわからない 斉藤なっぱ @nappa3
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