概要
西南の地に言葉を話す鳥がいると聞いて、旅人はその土地を目指した。
なぜ、旅をするのか。その問いかけに、養父はいっとき口をつぐんで、焚き火を見つめた。それからゆっくりと、昔語りをはじめた。はるか西南の地にある豊かな森林と、そこに棲む、人の言葉を話すという鳥について。
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- ★★★ Excellent!!!「言葉」を盗む緋色の鳥がなぜ悪霊の遣いと呼ばれるのか
ここではない世界を旅する彼が、静謐な語り口で紡ぐ見聞録。
彼は読者に名前を告げないが、同じ彼が旅して生きた足跡は、
『死者の沼』『雨の国』と本作『鳥たちの楽園』へと続いている。
架空の土地の紀行文であるのに、物悲しいリアリティがある。
大小さまざまな鳥が棲む深い森の奥には、言葉を話す鳥がいる。
嘘かまことかわからない伝聞を頼りに、現地の案内人を雇って、
彼は森へと足を踏み入れ、そして外界から閉ざされた村を知る。
村の人々の言葉は、思いがけず、彼にゆかりのあるそれだった。
彼が「まるで大昔の悲しいおとぎ話だ」と認識する某国の歴史は、
別の人々の間では現在進行形の憎しみの根拠であり続けている…続きを読む