実は何よりも、本物の勇者を尊重している作品。

本作で描かれる勇者と魔王は、現代社会の延長線上の存在です。
その殆どが下劣なクズで、ヤクザのように抗争に明け暮れ、政治戦や騙し討ちで汚く立ち回っています。
しかし、作中を通して描かれるテーマは、古典的な勇者を決して馬鹿にしません。
「勇者」が安易な固有名詞の言い換えとしてではなく、深いリスペクトの上で用いられていることは、
高い精度で描写される西洋剣を用いた剣術技巧や、西洋魔術のフレーバーに富んだエーテル知覚の設定など、
剣と魔法の戦いを極めてソリッドに描き出していることからも、強く伝わってくるはずです。
息つく間もない派手なアクション、チンピラどもが馬鹿をやっている空気感、そして物語を進めるごとに内面の深みが増すヒロインなど、様々な観点からおすすめできる作品です。