私なりの、結論。

「で、何か分かった?」

 お店の外に出ると、お義兄ちゃんは唐突にそう聞いてきた。

「何が?」

 思わず私はそう聞き返す。

「撮りたいもの。何か分かったってさっき聞こえたから」

「ああ、それ? うん、見つかったよ」

 私がそう言うと、お義兄ちゃんは笑顔を浮かべて言った。

「そか。ならそれが紗枝にとっての『大事なもの』か」

「え……?」

 驚いた顔をした私に、お義兄ちゃんは続ける。

「だって、『大事』だから撮るんだろ? 自分の心だけじゃなくて、誰かにもそれを見てもらいたいから。だから、そうだと思ったんだけど……違う?」

 お義兄ちゃんの言葉に、私は小さく首を振った。

「ううん。多分、そうなんだと思う。上手に言葉には出来ないんだけど、私は、私の心を動かされた瞬間を誰かに見てもらいたいんだと思う。例えそれが自己満足でも。今日来た人たちもみんな、『自分にとって大切な何か』を残してたんだ。だから、私もそうしたいの」

 うん、何だか上手く表現できないや。でも、お義兄ちゃんは分かってくれたみたいだった。

「だったら、そのまま撮り続けたらいい。誰かに文句言われようが、「これが私の世界だ!」って胸張って堂々とな」

 そう言って、お義兄ちゃんは私の頭をなでる。くすぐったくて、でも、嬉しくて私は目を閉じた。

「……うん、ありがとう」

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茜色の空に 美坂イリス @blue-viola

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