家族がどうのこうの。

はい、どうもみなさんおはこんばんにちは、和弥ですっ!

という訳でやっていきましょう、俺の青春実況プレイ!

なーんて感じで俺の好きな実況者さんの挨拶をパクりながら今日も今日とて部室に向かっている。

…もうやだよ?あんなバイオ○ザードとかボンテージとか。

おそるおそるそーっとドアを開ける。

そこには普通に優香先輩が座っていた。

「あら、和弥くん。早いわね?」

「ええ、今日は早めに授業がおわったんで。」

よかった…今日は普通だ。

ドアを閉めて自分の席につく。

びりびりびり!

「いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

とたんに俺の尻に激痛が!

「あら、まんまと引っかかったわね?」

急いで椅子を見るとそこにはスタンガンが埋め込まれていた!

バカなの⁉︎椅子にこんな細工をするとかバカなの⁉︎

「なに考えてるんですか⁉︎俺の尻が死にかけてますよ!」

「何を考えてるかは乙女の秘密よ?」

「スタンガン仕掛けるのが乙女ですか⁉︎」

なんてツッコミをしていると悪いイタズラを思いつく。この俺のスタンガン椅子と奈々先輩の椅子を取り替えてみるのだ。

「…私も悪いほうだと思ったけど貴方も中々悪いほうよ?」

「いえいえ、貴方には負けますよ?」

「お主も悪よのう…?」

「いえいえ、お代官様にはおよびません…ヒッヒッヒ…」

軽〜い悪代官ごっこをしてると問題の奈々先輩が入ってきた。

「ちぃーす、ちょいと遅れましたー」

「私たちが早かっただけよ。」

そしてなにも考えず椅子に座る奈々先輩。

よし!もうちょいで座る!

ビクン!ビクビク!フーッ。

「それにしても部長遅いね——っ!」

うん⁉︎普通に座った⁉︎あれ⁉︎痛かったのに!急いで優香先輩の方を向く。

優香先輩もかなり驚いている。だって、俺が座っ時めっちゃ痛かったのに!

いつも鞭でしばかれてるからあまり痛くないってことなの⁉︎

「はぁはぁ…私も……遅い方だと…思ったんっ⁉︎あっ…ふぅぅぅ、ですけどぉ……ね?んんっ!」

違った⁉︎痛くないとかじゃなくて性的興奮を覚えてたの⁉︎確かにさっきよりも頬が赤い気がするけど⁉︎ダメだ!この先輩俺の想像を超えてきやがった!

優香先輩は合点がいったような顔をして静かに微笑んだ。

ああ、あれは人を見放した目だ。奈々先輩のことは放っておくことにした目だ。そうだ。俺も放っておこう。予想以上にダメな人だったわ、奈々先輩。

未だにビクビクと体を痙攣させてる奈々先輩をさておき、優香先輩と駄弁ろう。

「そういや、優香先輩は桜部長とは同じクラスなんですか?」

「そうよ。教室ではよく話すわね。」

「へぇー、どんなことを話すんです?」

「…最近入った部のお邪魔虫の駆除の仕方とか。」

「すみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでした…………っ‼︎」

やばい。殺される殺される殺される殺される殺される!

何気に優香先輩と桜部長のコンボはヤバイ気がするっ…!

「大丈夫よ、和弥君は駆除なんかしないわ?」

「で、ですよね!俺、なんか考えすぎ——」

「抹殺よ?」

………何だろう俺の目から流れ出てくるこの液体は。そうか。俺は涙を流しているのか。そうだよ。ドSの桜先輩とそれを抑えることの出来る優香先輩の二重コンボとか目つけられた瞬間に死ぬ運命だったんだよ。そうだ死ぬ前に、妹に遺書でも書いておこう。

≪妹よ、この手紙を読んでいるということは俺はもう存在とか俺がいた痕跡とかそんなものをすべて消された上で死んでいることだと思う。せめてお前だけでも俺の事を覚えておいてほしい……っ。強く、強く生きt≫

「和弥君?冗談だからものすごくきれいなDOGEZAをしながら遺書を書くのをやめなさい?」

ふと立ち上がるついでにちらっと奈々先輩の方を見てみるとまだビクビクハアハアしてた。なんか椅子がびちょびちょになってるのは気のせいだ。うん。

「妹に遺書書いてる途中で気になったんですけど優香先輩には妹さんとかいるんですか?」

「うーーん、母と兄が一人づつ、妹が二人、父が三人ね」

へえ、てことは八人家族なんだ。


うん。…うん。



うん!?

「先輩今何ていいました!?」

「母と兄が一人づつ、妹が二人、父が三人」

いや、母と兄と妹ちゃん二人はいいんだ。父だよ!問題は!

「父親は何人いるんですか?」

「三人」

「あ、離婚したとかそういう……?」

「現在進行形よ」

「…どういうことです?」

「実の父とATMが二人」

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

ATM!?Automatic Teller Machine!?ヤバいよヤバいよ!この先輩!

そのことを平然と言えるこの先輩もやばいけど男二人を手玉にとれる先輩の母親も半端ねぇ!

「嘘よ?父親なんて一人しかいないわよ。間に受けちゃって、もう。」

そう言って俺に手を差し伸べてくれる優香先輩。そ、そうだよな。そんな酷い事この優香先輩がするわけないもんな!初日俺を助けてくれたもん!

ガシャ

「あ、ごめんなさい。落としちゃったスマホ、拾ってくれる?」

それ位おやすい御用だ。ちょっと離れた場所まで落ちたスマホを拾う。チラッと見えた画面を見ると、そこにはこんな事が書いてあった。

【ねぇ、パパぁ?パパの可愛い娘の優香だよぉ☆あのねぇ、わたしぃ、○ラダのバックとぉ、エルメ○のバッグとぉ、マーキュリ○デュオの服とぉ、すごく美味しいディナーに行きたぁ〜い☆よろしくね、パパ☆ 優香より ちゅっ♪】

…………うん。嘘だよね。あの優香先輩まじでやばい人だ。軽く総額140万は超える。うわぁお。これが悪魔女なのか!

という文面を読んで思考する作業を僅かコンマ1秒で終え、見なかったふりをしてケータイを返す。うん、あまりこの事には触れないでおこう。そして一刻もはやく忘れるんだ。

「そういう貴方はどういう感じなのよ?」

「ん?俺ですか?俺の家は父母俺妹の四人ですよ。」

ちょっと前にうちの父さんは倒産させちゃったからなー。会社を。いや、ダジャレとかじゃなくてね?むしろダジャレとかであってほしかった。

「うちの倒産は会社を父さんさせちゃったんですよねー。あ、違った。父さんが倒産させちゃったんですよ。んでかれこれ3年ほど「俺はパチンコをしてるんじゃない。夢に投資してるんだ!」とか言って3年間パチンコ三昧。これで負けたりすればまだ文句が言えるんですけど。なんか運だけはいいのか、一万持って行ったら10倍から20倍にして帰ってくるんですよねー。しかも家計の半分くらいそれで賄ってるもんだから文句も言えないし。タチの悪い人ですよまったく。」

「なんで一回言い直したのかしら?そしてパチンコ三昧っていうのはだめなのになんか地味に稼いでるから恐ろしいわね…。」

そうなんだよ。それでもきちんと親子で過ごす時間をきっちり作ってるあたりうちの父親はよけいタチが悪い。くっそ。

「で、母さんはカフェやってます。あの、ほら?駅前にあるちょっと小洒落た感じの。」

「あ!あのsans emploiっていうかっこいい名前の⁉︎」

「はい!それですそれです。でもsans emploiって名前フランス語で無職って意味なんですよ?笑っちゃいますよね。あはは。」

あの母さんも父さんを溺愛してるんだ。あんな半ニートみたいな父さんを愛せるって相当すごい母さんだ。アレな意味でね。頭おかしいだろ。

「あははじゃないわよ!なんか今までかっこいいと思っていたぶん、意味を知ってがっかり感がハンパないわよ!」

「で、俺の妹ですね!」

その瞬間俺は何か得体の知れないものによって意識を失った。

そうだ!正直父さんと母さんの紹介とかどうでもいいんだ!妹だよ!俺にとって一番大事なのは妹だよ!

「俺の妹は梨乃っていう超絶可愛い名前なんすよ!こればっかりは超絶可愛い名前を付けた親に感謝です!で梨乃なんですけど、中学2年生のくせに俺にべったりなんですよ〜!誰が見ても超絶美少女だし!お風呂に入ってると勝手に入ってきちゃうし!

しかも、テレビとか見てると俺の膝の上に乗っかってくるんですよ!羽のように軽いくせにあったかくて、風呂の後だとシャンプーの香りがほんのりしてきてドッキドキするし!

俺の事をプリティーボイスで「お兄ちゃん♡」って呼んでくれて!休日とかは一緒に買い物に行ったりするし!寝るときは毎回いつの間にか布団にもぐりこんでるし!朝起こしてくれる時も上に馬乗りに——!」

「そのどこかの作者の人が垂れ流している妄想みたいな妹紹介はそこまでよ。話が長くて誰も聞きやしないわ。」

はっ⁉︎俺は、いったい⁉︎

「大丈夫?なんか目が虚ろだったけど。」

「大丈夫ですよ〜。俺はいつでも虚ろです。」

「うん。それを大丈夫とは言わないのだけれどね。」

なんか俺に何かを言わせていた得体の知れないものは去ったようだ。

なんだったんだ。

「まあ、とりあえず可愛いってことです」

「わかったから。もうしゃべらなくていいわ。」

「…甚だ遺憾ですが。まあ、この四人家族ですね。喧嘩とかも全然なく、平和ですよ。」

だって親はあんなだし妹とは仲がよすぎるくらいだしね。よし、いい加減さっきからビクンビクンなってる奈々先輩をこっちの世界に戻そう。

「待って、それは私がやったほうがいいわ。」

確かに扱い慣れてる優香先輩のほうがいいかもしれない。

ツカツカとドM先輩に近づく優香先輩。ドM先輩の席の前に立つとそっと顔に手を当てる。優しく起こしてあげるのだろうか。こんなドM先輩にも優しく接するなんて!なんて素晴らしい先輩なんだ!すると手を思い切り振りかぶる!

「はぁはぁ…は——?」

バチィィィィィィィィィン!

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」

ビンタされたドM先輩はさけびながら椅子ごとバ○オハザードの残骸に突っ込む!

ええええええ⁉︎なんで⁉︎あんな慈愛に満ちた顔だったのに!あの慈愛で満ち切った顔でどうしてあんな超威力のビンタを繰り出す事ができるんだよ!

そしてなんであんな超威力のビンタされて笑顔なんだよあのドM先輩は⁉︎あんなスゲェニコニコ顔見た事ねぇよ!ベストだよ!ベストスマイルインザワールドだわ!世界一の笑顔だよ!

「はっ!私は何を⁉︎」

今までの事は覚えてなかったらしい。なんて便利な脳みそだ。

「ほら?奈々ちゃん?駄べりましょ?」

「あ、はい!そうっすね!」

ええ⁉︎流しちゃうの⁉︎すると優香先輩は無言の圧力って奴で語りかけてくる。

(思い出させたらまた面倒だから止めなさい…!)

……はい。(ガタガタガタガタ!)ボンテージの桜部長以上の威圧だった!本能が告げている。この人に逆らってはいけない…!

ガラガラガラガラ!

「ごめーん!遅れちゃった!ってなによこの圧力⁉︎遅れたからなの?私が遅れたからなの⁉︎ごめんなさいぃぃぃ!」

なんて間が悪いんだ桜部長は!面倒くせぇ!

優香先輩が慌ててフォローに戻る。

「違うのよ。桜ちゃんじゃなくて和弥君にやっていただけだから。」

恐る恐る顔をあげる桜部長。

「ふにゅ…。そなの?」

「そうよ、私が桜ちゃんにそんな事するわけないじゃない?」

「そ、そうだよね!私最初からわかってたもん!」

涙でぐっずぐずになりながら強がる桜部長。これはこれで可愛い。

「私が桜ちゃんにするのは実力行使だもの」

……くたっ。

桜部長がへなへなと床に座り込む。あれ、心なしか魂が口から抜けてるように見えるのは気のせいだろうか。…というよりなんか二段構えの攻撃多くないですかねぇ⁉︎飛天○剣流かよ!しかも一撃一撃が物凄く重たい!どこかの抜刀斎より余計タチが悪い。

「まあ、桜部長?優香先輩はもしかしたら優しいでしょうからそんなこと恐らくしませんよ。(多分ですけど)」

「そこまで推量の意味の言葉使われたら信憑性が薄すぎるわよ!」

桜部長が生き返って反論してくる。

「大丈夫ですよ!多分!」

「多分って言ってる時点で大丈夫じゃないじゃない!」

「大丈夫ですって!恐らく!」

「だーかーらー!恐らくって言ったら大丈夫じゃないでしょー!」

そう言って手をパタパタ振り回す。なんだかんだ言って元気を取り戻したようだ。この部長気分の変わり方が激しくないか?

…………試してみるか。確かバックの中にお昼の時間に残った飴があるはず……あ、あったあった。

「桜部長、飴食べます?」

「あ、食べる食べるぅー♪」

俺の左手にある飴に手を伸ばす桜部長。しかし、飴を手に取る一歩手前で俺は手を強く握りしめ思い切り頭上に掲げる。まるで小さな子供をいじるかのように!

「ふぇぇ!なんで!なんで上に持ってくの!くれるんじゃないの!ねぇ!和弥くん、ちょーだいよー!ねーぇ!私の飴ぇ〜!」

うわぁお。思ったより子供のような反応。そーっとゆっくりと腕を下げていく。それと比例するかのように桜部長の顔がほころんでいく。どんどん下げていく。あと少しで飴がとれそうだ。桜部長が飴を手に取る瞬間!再び頭上に飴を持っていく。まるでせかいが終わるかの様な顔をしてよろよろと俺の体に上目遣いで寄ってくる。

「ねぇ…飴をぉ………桜にぃ…………飴をくだしゃい……………。悪いことしたならあやまるからぁ……………。ふぇぇぇぇぇぇぇぇん…。」

ぐぼぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎なんだこの破壊力は!死ねる!今なら後悔なく死ねる!なんだこの可愛い生物は!…はっ⁉︎いかんいかん。これは確認だからな。惑わされちゃいけない。今度こそ桜部長に飴を差し出す。

「いじわるしてすみません。飴、どうぞ。」

一応少し謝って飴を差し出す。警戒してかパッと俺の手から飴を取り、飴を包み紙から取り出しパクッと口に放り込む。

途端に顔がふにゃぁんと、とろけさせながら飴を舐め始める。凄いニコニコしながら。これが良いベストスマイルインザワールドなら奈々先輩は負のベストスマイルインザワールドだ。対局の2人だな。まあ、ドSとドMだから相性はいいのかもしれない。史上最悪なコンビだが。

とりあえず桜部長が飴を食べ終わるまで3人で彼女を眺めておく。

「ふぁぁ……。レモン味だぁ。」

そんなことをつぶやきながら口をもごもごさせる桜部長。うん。可愛い。

数分後、いきなり物凄いまずそうな顔をして俺の方に飴を吐き出してきた!

「うぇぇ!ぺっ!」

「うわっ!(ご褒美!…じゃなかった!)汚いですよ!」

いけない。つい本音が漏れるところだった。

俺の目の前にコロコロと転がってきた飴をティッシュでくるみ、ゴミ箱に捨てる。

「何ですかいきなり!もったいないですよ!」

「だって…なんかいきなり辛くなったんだもん。」

辛く?おかしいな。俺が食べた時は普通のレモン飴だったのに。ふと疑問に思いパッケージを見てみる。すると隅っこの方に

『一個だけレモン味の後に唐辛子味に変わる飴があります!』

と書いてあった。なんでこんな隅っこにちっちゃく書いてわかりにくくしてるんだ!

「ううぁ!もう許さないんだから!」

そんなことを言うといきなり服を脱ぐ桜部長!

だぁぁぁぁぁ⁉︎ダメだ!見てはいけないのに視線が離れない!これが…!桃源郷なのか………!でぶしっ⁉︎

「目がぁぁぁ⁉︎目がぁぁぁぁぁぁ!」

いきなり桜部長から目潰しをくらった!

「豚のくせにアタシに唐辛子味を食わせるたぁいい度胸じゃねぇか……!」

いつしかのボンテージ部長になってらっしゃいました。目が!目がまだ見えねぇよ!光が見えねぇ!俺に視覚という名のひかりをぉぉぉおおおおああああああ⁉︎

鞭か⁉︎この懐かしい感触は鞭か⁉︎悔しい…けど感じちゃう!やばい、これはボンテージ部長から調教を受けたせいか⁉︎意識をしっかり保て、俺!そう!鞭は受けたら気持ちよくない!痛いんだ!

バチィィィィィン!

「うっはぁぁぁぁ⁉︎」

ダメだ。痛み半分気持ちよさ半分だ。

俺はもう普通の人間に戻れないのかもしれない。

ようやく視覚がしっかりしてきて周りが見えてきた。

目の前には凄い形相の奈々先輩が!

「変わってよ!ねぇ!お願いします!変わって下さい!一生に一度のお願いだから!変わってよ!」

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!人間ここまで堕ちれるもんなの⁉︎悪魔の如き形相だよ!

「うるせぇ雌豚ぁ!」

バチィィィィィン!

「きたぁぁぁぁぁぁんっ‼︎」

なんでこのドM先輩は悦べるんだよ!頭おかしいんじゃねぇの⁉︎

そ、そうだ!優香先輩!優香先輩ならこのボンテージ部長をとめてくれはず———

『お茶買ってくるわ。ちゃお☆』

ちゃお☆じゃねぇよ!

なんでこんな非常事態にお茶買いにいくんだよ!

ダレカタスケテー!


————————————————————


あれから何分、いや何時間経ったのだろう。

俺はとても人に見せられるような格好をしていなかった。まあ、大まかに言えば素っ裸でとても俺には入らないものを入れられてしまった。

俺の純潔を返して………。

ガラガラガラガラ…

俺が開いたドア方を見るとそこには優香先輩!

「あ、優香先輩、助け〈ピシャン〉待ってぇぇぇ!」

明らかにドン引きした顔でドアを閉める優香先輩!しかし桜先輩の頭をひっつかみ外に出してくれる。助かった!俺は急いでアレを俺のアレから引き抜き服を着る。いっときやばいな俺のアレ。奈々先輩は思い切りビンタして正気に戻す。

パチン!

「あはぁぁぁぁぁぁん!はぁはぁ、痛いけど…正気に戻れたぁ…」

「大丈夫ですか?そろそろ活動始まりますよ?」

すると一瞬で元の奈々先輩に戻る。どうなってんだこの人の思考回路。

「ん?そうか、ごめんな」

「いえ、大丈夫ですよ。」

するとドアの向こうから正気に戻った桜部長と優香先輩が入ってきた。

「……唐辛子味をあげた和弥くんも悪いんだからね?」

いや、まず唐辛子味があることも知らなかったし、唐辛子味を食べさせちゃっただけで俺の純潔は汚されたんですよ?

…………………………忘れるんだ俺。できるだけ普通に接するのだ。

「まぁ、話は大きくそれたけど!活動始めるわよ!」

「「「もう十分なんですけど。」」」

「なによぅ!まだ活動すらはじまってないんだからー!」

一番時間をくった人がなに言ってるんだ。

「所で!家族のお話ししてたんでしょ!奈々ちゃんからどうぞー!」

桜先輩が無理やり気味に話題を転換させる。

「私かぁー。私は一人っ子だな。お父さんお母さん私で3人家族。母はゆい○い!父はひょいざ」

「言わせねぇよ⁉︎それだけは絶対に言わせませんよ⁉︎これ1話目から本当にギリギリなんですからね⁉︎」

「いいじゃねぇか。常にギリギリを攻めていく。それが私達駄べり部だろ?」

しらねぇよ⁉︎まだ入部して3日目だわ!

「そういう姿勢、私は嫌いじゃないわ。」

「余計な所で首を突っ込まないでくれますか⁉︎」

優香先輩がいきなり入ってくる!めんどくせぇ!ツッコミきれねぇよ!

「まぁ冗談はさておき父は豚、母は女王様をやってるぞ。」

「いや、だから家庭環境おかしいだろ!てかお父さんの影響か!あなたのそれは!」

「まあ、ドMやめたら負けかなって思ってる」

「今すぐやめて下さい、やめられるのなら!」

まあどうせ無理なんだろうけどさ!

「私も女王様やめたら負けかなって思ってる」

「部長も首をつっこまないの!」

これ以上話をややこしくしないで下さい!

「まあ事実はさておき」

冗談じゃなかった!ていうかそれ使うの2回目ですよねぇ⁉︎

「父は警察官、母は専業主婦してるかな。お父さんはすごいんだ、指名手配犯をバッサバッサつかまえてるんだぜ!」

………そんなにすごい方なのに家庭では豚扱いって………。

世の中不思議な事もあるモノだ。あれだ。天は人に二物を与えずってやつだ。

「私が初めてしゃべった言葉は「雌豚」だったらしいしな!」

その頃からドMの資質があった⁉︎

「物心がついた頃には自分で自分を亀甲縛りすることくらい朝飯前だったし。」

物心のつき方がおかしい!

「小学生高学年の頃にはお父さんと一緒にお母さんの鞭をしょっちゅう受けてたし。」

お母様ぁぁぁぁぁぁ!あんた自分の娘になにしてんだ!っていうか…

「でもしょっちゅう鞭でしばかれてたら跡とか残って学校で問題になったりしなかったんですか?」

しょっちゅう受けてたのなら跡が残るはずだしそれで虐待とかで騒がれたりしなかったんだろうか?俺の疑問に奈々先輩はニコッと笑いながら答えた。

「ああ、大丈夫。うちの母は鞭とか暴力のエキスパートだから、跡とか痣とか残さずに物凄い威力のご褒美をくれるんだ♪。朝も鞭を百発くらい受けたけど、ほら?全然跡とかないでしょ?」

怖えええええ⁉︎なに⁉︎暴力のエキスパートって!極めてるよ!人間が極めちゃいけないモノを極めてらっしゃるよ!しかもそれをご褒美って!すると奈々先輩が腕のらへんとか見せてくれたが少し跡がある。あれ?

「あ、それは桜先輩の鞭じゃねぇかな?」

「…私もまだまだということよ。最大限の苦痛と快楽を与えつつ跡は残さない。それが私の信じる女王様道よ!それに到達するまで奈々ちゃん、協力してくれる⁉︎」

「もちろんですよ!お母さんの跡の残らない暴力も好きですけど部長の跡の残る暴力も好きですよ!部長に征服されてる感じがして!」

この2人の話していることがよくわからない。早めに話を切り上げさせよう。

「で!桜部長の親御さんはなにをしているんですか?」

「よくぞ聞いてくれました!お母さんはいないけどパパはヤがつく自由業を」

「アウトォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

思った以上にブラックすぎたよ桜部長の家庭環境!

「大丈夫だよ、時たま返り血を浴びて帰ってくるけど!」

何があったぁぁぁぁぁぁ!返り血を浴びるほど何をしたんだよ!

「でもパパは私が大好きだから服従を誓ってくれたし!」

親だ!この人達の歪んだ性癖は全部親の特殊な性癖のせいなんだ!

「パパは私に踏まれるとすごい幸せだって言ってくれるし!」

親の威厳とか尊厳はどこに行ったんだろう。

「パパの大好物は私の靴下だし!」

それはもう人としてダメな気がする!というより人間やめてるだろ桜部長の父親は!

「趣味は拳銃集めだよ!」

警察の方ーーー!ここです!ここにいけない人がいます!

「もちろん実銃!」

もっと悪いわ!つっこみきれねぇ!

「もういいです!もうお腹一杯ですから大丈夫です!」

「そ、そう?まだパパの武勇伝たくさんあるのに?」

もうこれ以上聞いたら頭がおかしくなる。確実に。

その後、俺と優香先輩の家族の事はサクッと紹介した。これ以上ふざけても余計疲れるだけだ。

すると桜部長がほんわかした顔で話し出す。

「妹がいるっていいわねぇ。」

「まぁ、にぎやかにはなりますね。」

そこに奈々先輩も入ってくる。

「私も欲しかったなー妹とか。」

「いや、妹ができてもそれはそれでちょっと複雑そうな。」

「妹と2人で受ける鞭の嵐…想像しただけでヨダレが…!」

俺は妄想に浸り始めた奈々先輩にチョップを強めに入れる。もう先輩に対する敬意とかそんなものはもうほぼなくした。

「あうっ!痛いじゃないの!」

「このまま妄想の世界入られても困るんです。」

キーンコーンカーンコーン…

あれ?もうこんな時間になってたのか?

「じゃ!今日はこれまでで帰りましょ!」

桜部長がマトモに見える。すごいな。

「帰りますかー。」

俺もそう呟き帰りの準備をする。

ん?俺の鞄に見慣れないものが。これは?

【ドMへの目覚め方入門書】

「あんたか!」

「やべ、逃げろー!」

俊足で逃げる奈々先輩。くっそ!こんなもん持って帰ったら親とか妹に勘違いされるだろ!入門書は丁寧に引き裂いてからゴミ箱に捨てる。いらんぞこんなの。

最後まで一騒動あったがそのあと普通に帰れた。


—————家に帰ってからの斎藤家—————

「ただいまー」

「お兄ちゃん、おかえりなさい!」

「おう、ただいま!」

「今日お父さんもお母さんもちょっと遅くなるって。」

「ん?そうなのか。じゃあちょっと風呂入ってからゆっくりするかな。」

「私も一緒に入るー!」

「よしよし。わかったから。」

「鞄貸して?着替えとってくるからついでに部屋に置いてくるよ。」

「お、ごめんな。よろしく頼むよ。」

ぽろっ

「何この本?」

「ん?なんだその本。」

「【女王様への道入門書】?え、お兄ちゃん何これ…」

「はぁ⁉︎あ!あの部長め!違うんだ!それは部活の先輩が勝手に入れたもので!」

「お、お兄ちゃんがそういうのが好きなら私、頑張るね!ん、んん。このぶたやろー!」

「違うから!」

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