五月下旬 某所
殺風景な部屋だ。三人の少女が居る。それぞれ思い思いに振る舞っている。一人は六面立体パズルをもてあそび、一人は画用紙に少女趣味なイラストを書き並べ、一人はパソコンを見ながら寝そべり。時計の秒針の音が妙に大きく響く。
どれぐらいそうしていただろうか。ようやく六面立体パズルを完成させた少女が、それをポンと上に放り上げながら、視線は全く動かさずに、
「
と呼び掛けた。
「何、
イラストの少女がやはり視線を画用紙に注いだまま答える。
「明日は出かけるの」
「うん、収録があるからね」
「そう」
しばし沈黙。
「
歌芙美がまたしても中空を見詰めたまま呼び掛けた。返事はない。
「雨露未」
「・・・ん、はぁ・・・はぁん・・・・・・」
「雨露未、今忙しいみたい」
微かな喘ぎ声を漏らすだけの少女に代わって再び小優芽が答える。
「そう」
歌芙美は別段興味も無さそうに短く発した。しばし沈黙。
「晩ご飯何にする」
と
「何でもいい」
三度小優芽。そして沈黙。
彼女たちの部屋に窓はない。いま日光が差しているのか、月光が差しているのか、わからない。時計?そんなものは全く狂っている。畢竟、彼女たちにとって時間など大した問題ではないのだ。彼女たちは、彼女たちとしてそこにあれば充分なのだから。
アンタイ 淡 深波 @Awashi_Minami
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