主人公のシュウは、何者かに殺された後、死ねない体として黄泉返り続ける運命を背負う羽目になりました。
彼は『人間としてちゃんと死ぬ』方法を探して異世界へと旅立ちます。
死ぬたびに蘇るその姿はすでに人間ではないとしても。

徐々に明らかになっていく異世界の様子は我々の正気で測れるものではないようです。
クトゥルフ神話をベースに、シュウが何によって作り替えられてしまったのか、彼が歩いている異世界がどういったものなのかが明らかになっていくでしょう。

我々はこの文章を読んでいるだけで、既に彼らの御許にいざなわれているのかもしれませんね。

嘘です←
軽妙な語り口と魅力的なキャラクター、クトゥルフの知識がなくても楽しめる冒険譚です。
知ってるとにやにやできるネタもあり、極彩色の異世界がいつでもあなたを出迎えてくれますよ。
入国方法は簡単、レッツクリック！

　これは面白いです。久しぶりにワクワクしました。
異世界ものは好きなのですが、どうしても中高生くらいの年齢の主役を添えます。それ故に歳をとってしまった自分には、書くにしても読むにしても、ある程度苦痛を伴うのです。
　ですが、この物語は久々に、自分自身が主役の目線になれる。
物語を読む喜びのようなものを、久しく感じることがでました。

この作品の更新を追っかけます。残りの☆は、ラストまで読んだ時の私の楽しみとして、勝手ながら残させてください。

　徐々に悪魔に変わっていく描写や死に慣れていく描写、主人公に起きる変化の描き方が実に気に入りました。彼の人の心が最後まで保つのか、それとも何時しか完全に変化してしまうのか。それも含めて見守っていきたいと思います。
　クトゥルフ作品大好きな人間としては細かく固有名詞が出てきながらも、元ネタとは違う味付けで出してくる辺りに新鮮さを面白みを感じます。
　人のことを言える立場ではないのですけれど、こういう少し変わったクトゥルフも素敵だと思います！ 大好きですこういうの！
　
　そしてアルラウネ可愛い！

引き込まれるような始まりから楽しく読み進めば、異世界での冒険が始まるのですが、この主人公の目的は世界を救うことでもなければ、姫との恋みたいな甘い展開もありません。
彼が求めているのは「どうしたら死ねるのか」という点ただひとつ。
同行するリリスがやたらとイイ女で、もう一人(人、ではないけれど)とても可愛らしいものが登場し、そのバランスの良さが絶妙です。
このダークなファンタジー、目が離せません。

キャラクターが魅力的！　
アルラウネ……台詞なくともとっても可愛くかけるその描写力に嫉妬です。

異世界に転位する前の描写は比較的簡潔な印象でしたが、異世界の描写が丁寧で、映像が浮かんでくるようでした。リリスが主人公の心を読めるため、主人公の一人称の地の文が会話文としても体を為し得るとう仕掛けは非常に面白い。あとアルラウネが、セリフは無いのですが、なんだか可愛いです。

いわゆる異世界転移ものですが、降り立つ世界が普通じゃない。
奇妙でどこか愉快な、風景や生物の様子が丁寧に描かれていて、想像力を刺激されます。
地の文も主人公の語りのような独特の文体で、情景描写が多めのシーンでも非常に読みやすいです。