圧倒的現実感で紡がれる吸血鬼のリアル

この小説の素晴らしいのは、ただの科学フィクションではなくSF(すこしふしぎ)としてのアプローチをとることで、伝説という非科学的なものに対して人間の感情と本能と科学をぶつけ、相乗的に圧倒的な現実感を持たせることに成功している点だと思います。
特に『患者を通じて、世界が変わるのだ』という部分の人間くささと言ったらこの上ないと感じました。
終わり方もSFらしい、後を引くような良さがありました。