悪夢のエキナカ巡り

巨大駅は怖い。
人を惑わせる複雑怪奇な東京駅の地下ダンジョン。高所恐怖と地の底に向かう恐怖とがセットでやってくる新御茶ノ水駅のエスカレーター。常に醜い臓物を晒しながら無限に増殖と変化を続ける新宿駅。
この小説に登場する「横浜駅」もとにかく怖い。富士山や甲府盆地のあたりは、もう恐怖を通り越してしばらく悪夢に出て来そうなくらい壮大で荘厳でばかばかしいまでの鮮烈さ。
その恐怖のエキナカに「青春18きっぷ」を胸に歩み入っていく少年の五日間の旅は、単なる自分探しに留まらない、閉塞した世界に風穴を穿つ旅でもある。かの名作「梅田地下オデッセイ」をも彷彿とさせる駅SF(そういうジャンルがあるとすれば)の傑作だと思います。

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横浜駅SF

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