洋画のカーチェイスを思い浮かべてほしい。
ロサンゼルス、パリ、あるいはマンハッタンの風を切り、流れる街並みのどこかに特別焦点を当てることもなく走り抜ける。
その、息の止まるような爽快感。遠心力に身を流されるような臨場感。それらが重なる緊張感、高揚感。
『強盗童話』の強みは、つまり。
「それらの感覚を一挙に体感できる“小説”である」ことだろう。
疾走感溢れる文章、釘付けにされる場面展開、個性鮮やかなキャラクター達。
呼吸も、瞬きも、傍らに準備した珈琲の香りすらも忘れてまさに「物語の世界に沈み込む」ような感覚を覚える。
気づけば時計は幾度も進み、車が止まるは最前線(フロントライン)。
心も時間も五感も、あらゆる意味で「持っていかれる」のだ。
平面の劇場を眺めることに飽きたあなたへ。
ありきたりなびっくり箱では驚かなくなったあなたへ。
是非最前列でご覧あれ。この“小説”は、『格別』だ。
なんというか、私の言葉の引き出しが少ない為に、まだ読んだ事のない人達にこの作品の魅力を伝えるのが難しいのだけれども
この作品を楽しむ為のコツをお伝えしよう
この作品を楽しむコツは『想像力』
これに尽きる
言い方は酷くなってしまうのだけれど
強盗童話は頁の中をそれぞれ個性的なキャラクターが縦横無尽に、空を翔けたり、秒単位の攻防をしてみたり、あっと言う情景を文字に置き換えて居るだけの映像作品に近い物が有ります。
行間の隙間から自然とキャラの映像が浮かび、気がつくと自分も座席に座り観客の1人としてして楽しんでいる。複数の視点から同時に物語が進む映画の様なお話です。
あなたの感性にマッチしたならば
頁を開き読み進め、世界観を覗き込んだ瞬間に首根っこ掴まれて身体ごと一気に持っていかれる
時に荒っぽく、時に流麗な言葉に乗って、駆け回るミリオンダラー達が紡ぐ物語の一席に
ようこそ
ここは貴方だけのプレミアムシート
演者の息遣いを感じつつ楽しんで欲しい
世界を騒がす大強盗。ボルテージはいつでも最高潮。
クールからホットまで即日お届け。劇場型強盗活劇
誰にも再現不能。唯一無二のオリジナリティ
この作品がある限り、カクヨムには希望があり続ける。
さあ、世界中を笑い飛ばせ……!!
(ひとこと紹介の没案を並べてみました)
この作品をひとことで言い表すならば、
常にハイセンスであり、どこまでもクールであり、同時にアツくもあり、それでいて上品であり、爽快であり、豪快であり、そして時々どうしようもなく悲しくもあり、兎にも角にも読み手の心を掴んで放さない作品、です。
(ひとことにはなりませんでしたね)
ちなみに個人的には、「最も終わらないでほしい作品」であり、「最も人におすすめしたい作品」であり、そして何より、「最も大賞を取ってほしい作品」です。
まず言及すべきは、そのハイセンスなセリフ回しや格式の高い空気感でしょう。
ハリウッド映画を彷彿させるテンションや豪華さ、上品さで進行していくので、一話ごとの読み応えが良く、それだけで読者を飽きさせません。
それに加え、毎話どこかで必ず唸らせてくれます。
また、時折感じられるタイミングの秀逸さは特に、他の作品にはない独自の持ち味といえます。
次に登場人物です。
「非常に活き活きとしており、個性的かつ魅力的」。
この言葉が、主役から端役に至るまで総勢62名(2017.2.6現在)の登場人物全員に当てはまります。
さらに、これほどまでの大人数を登場させておきながらも、その誰もが持て余されることなくストーリー上機能してしまっています。
これぞ群像小説の真骨頂といえるでしょう。
また、群像なので横の広がりが圧倒的に広いです。
しかし特筆すべきは、実は縦の構造の方です。
読み返してみると、矛盾も違和感もないどころか、細かい伏線や布石が至るところに、かつ注意深く読まないと気づけないほど自然に張り巡らされていることに気づかされます。
……というよりも、そもそもすべてが練り込まれた上で始まっていることがわかります。
裏を返せば、この作品は、最初から「完成している」作品なのです。
(「完成度が高い」の最上級、「完成している」です)
読み返してみて初めて気づく仕掛け。知った上で読むと意味合いが変わるシーン。
一読どころか、二度読み推奨です。
何より、この作品には何度も読む価値があります。
世にある多くの作品が縦か横かのどちらかに特化しているとするならば、この作品は縦にも横にも奥行きにも、まさに世界そのものを作り出してしまっているといえます。
そもそも「現代」でここまで自然に「ファンタジー」できる作品を僕は知りません。
また、文章表現も非常に巧みです。
多すぎることも凝りすぎることもないまさに最適な描写が、読み手の想像力を掻き立てると共に、想像の自由を与えます。
気づけば映像が浮かび、音が聴こえ、果ては時間の流れが変化する。
本当に、読書の楽しみを教えてくれる作品です。
……いかがでしょうか。
宜しければ、僕のこの熱意をしてご判断頂けたら幸いです。
――これは、これほど熱狂的なファンを生み出してしまった作品なのだ、と。
ハードルを上げすぎたでしょうか。
僕はそうは思いません。
何故なら、いくらハードルが上がったところで実物には到底追いつけるはずがないと確信しているからです。
――『鳥』が『空』よりも高く飛べるはずがないのと同じように。
このレビューを介して、一人でも多くの方に興味を持って頂けたらと思います。
偶然、開いてなんとなく覗き見た物語にどんどん飲み込まれて気がつけば最後まで読み通してしまった。
非日常を駆け抜けていく爽快感。一話を読み終える毎に感じるスッキリとした快感。強盗童話を読み終えた時の、この快感がたまらない。やみつきになる。
各々の登場人物に視点があてられているのがまた、良い。
「彼ら」が紡ぐ物語が、いっそう強盗童話をやみつきにさせる。
強盗童話は読む、というよりは頭の中に映像として鮮明に駆け抜けていくアニメのような物語だ。自分達が経験したことのないことでも、すんなりと情景を理解し、頭の中に映像として表れるのだ。
それだけ、読みやすい物語である。
実際の童話と関連させて登場人物の名前が付けられているので、キャラの名前が覚えられない私でも映像として鮮明に物語を楽しめた。
勉強の合間でもいい。料理の煮込み時間でもいい。ゲームのロード中でも何でもいい。ほんの隙間時間に、1ページだけでも開いて目を通してみるといい。
ほらもう、貴方は読まずにはいられない。