回を増すごとに面白くなる

 本作は、戦前の日本をモチーフにした剣劇伝記アクションとも呼べる作品です。舞台は主都である帝都。お話の主軸は、異能を持つ主人公吹雪が仲間と共に化け物退治をするというもの。
 戦前の日本をモチーフとした伝記ものは人気があり、刀で化物を斬り殺す少女という主人公のモチーフもオーソドックスなものです。
 初めはどこかで見たことがあるような話だという感覚で本作を読んでいました。下手ではないけれど、新鮮味は感じられないといった感じで。
 ですが、このお話は回を増すごとに味が増していきます。主人公吹雪の周囲にいる退治屋『紅梅社中』の社員たちが一筋縄ではいかない人間ばかりです。
 最新話だと、その仲間の異能のせいで主人公がピンチになるという急展開を見せています。この仲間たちとの関わりが、人の顔色を知らず知らずのうちに窺っていた吹雪にも変化をもたらします。
 吹雪が探している双子の兄も何やら一筋縄でゃ行かない人物らしく、吹雪の波乱に満ちた『これから』の展開に期待が持てるお話です。
 設定やモチーフ自体はありふれたものですが、丁寧な話の構成と魅力的な脇役たちがこのお話に彩を添えてくれます。
 読めば読むほど味が出る。それが、このお話の『強み』だと思いました。

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