概要
バカだけど、迷っている者に俺の声は必ず届く
バルドは、村のみんなに好かれている。
畑の見張り台に立って、通りかかる者の名を、片っぱしから呼ぶからだ。
「おう、ミレナ!」
「おう、じいさん、腰は!」
村の全員の名を、一度で覚えて、必ず呼ぶ。それがバルドの取り柄である。
取り柄は、それだけだった。数は二十までしか数えられない。地図は読めない。嘘はつけない。
好かれてはいるが、当てにはされない。作戦の席に呼ばれたことは、一度もない。
けれど、伝令たちが口だけで継いできた、古い言い伝えがある。
一 人は、動く前に一拍だけ迷う。
二 迷っている者の耳には、迷いのない声が、どれだけ離れていても届く。
三 届いた声は、その一拍のあいだだけ、迷いの代わりになる。
バルドの声は、届く。敵にも届く。
ただし、一拍は三語ぶんし
畑の見張り台に立って、通りかかる者の名を、片っぱしから呼ぶからだ。
「おう、ミレナ!」
「おう、じいさん、腰は!」
村の全員の名を、一度で覚えて、必ず呼ぶ。それがバルドの取り柄である。
取り柄は、それだけだった。数は二十までしか数えられない。地図は読めない。嘘はつけない。
好かれてはいるが、当てにはされない。作戦の席に呼ばれたことは、一度もない。
けれど、伝令たちが口だけで継いできた、古い言い伝えがある。
一 人は、動く前に一拍だけ迷う。
二 迷っている者の耳には、迷いのない声が、どれだけ離れていても届く。
三 届いた声は、その一拍のあいだだけ、迷いの代わりになる。
バルドの声は、届く。敵にも届く。
ただし、一拍は三語ぶんし
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