概要
花嫁に用意されたのは喪服でした
わたくしの嫁ぎ先が、橋の上で消えました。
ヴェルゼ王国第三王女エルミナ。十九年、三の姫と呼ばれて育ちました。和平のため敵国カルディアへ嫁げと命じられ、持参金の荷馬車八台を連ねて、国境の橋へまいりました。
橋は一車線、長さ四十歩。そこへ東から一台、西から一台が、同時に乗り上げたのです。
窓を開けたら、声が重なりました。
「「なぜ、こちらへ?」」
向かいに乗っていたのは、わたくしの花婿でした。ただし、その手には譲位の証書が一通。弟君の受領印つきで。つまり今日からは、ただの亡命者でございます。
その方が国から持ち出したものは、証書が一通、出さずじまいの手紙が一通、羽根ペンが一本。そして荷車に、櫃が四つ。
婚礼の支度に紛れて、目録より四つ多く届いた櫃。中身は黒の布と、黒の紗と、蝋燭。花
ヴェルゼ王国第三王女エルミナ。十九年、三の姫と呼ばれて育ちました。和平のため敵国カルディアへ嫁げと命じられ、持参金の荷馬車八台を連ねて、国境の橋へまいりました。
橋は一車線、長さ四十歩。そこへ東から一台、西から一台が、同時に乗り上げたのです。
窓を開けたら、声が重なりました。
「「なぜ、こちらへ?」」
向かいに乗っていたのは、わたくしの花婿でした。ただし、その手には譲位の証書が一通。弟君の受領印つきで。つまり今日からは、ただの亡命者でございます。
その方が国から持ち出したものは、証書が一通、出さずじまいの手紙が一通、羽根ペンが一本。そして荷車に、櫃が四つ。
婚礼の支度に紛れて、目録より四つ多く届いた櫃。中身は黒の布と、黒の紗と、蝋燭。花
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