概要
昼は完璧な大聖女、夜は記憶にない大泥棒。騎士様は今夜も取り逃がす
ノヴァル王国の大聖女アニエスは、多くの人に尊敬される完璧な聖女である。
祈り、結界を張り直し、人の話を聞き、笑って頷く。断ったことは一度もない。
――ただし、夜は別の話だ。
日が落ちると、彼女は自分でも知らないうちに屋根の上へ出る。
狙うのは、うなるほど持っている側だけ。
蔵から一晩に一軒だけ盗み、困っている誰かへ届け、そして必ず対価を取る。
「タダではやらない。おまえの持ち物で、いちばんいいものを、一つ出せ」
追うのは護衛騎士ライナルト。六年ずっと大聖女を守ってきた、この国でいちばん真面目な男である。
彼は今夜こそ捕まえるつもりで屋根へ上がり、今夜も手を伸ばし、今夜も鼻先で笑われる。
「捕まえたいなら、もっと上手にどうぞ」
朝が来る。何も覚えていない大聖女が、
祈り、結界を張り直し、人の話を聞き、笑って頷く。断ったことは一度もない。
――ただし、夜は別の話だ。
日が落ちると、彼女は自分でも知らないうちに屋根の上へ出る。
狙うのは、うなるほど持っている側だけ。
蔵から一晩に一軒だけ盗み、困っている誰かへ届け、そして必ず対価を取る。
「タダではやらない。おまえの持ち物で、いちばんいいものを、一つ出せ」
追うのは護衛騎士ライナルト。六年ずっと大聖女を守ってきた、この国でいちばん真面目な男である。
彼は今夜こそ捕まえるつもりで屋根へ上がり、今夜も手を伸ばし、今夜も鼻先で笑われる。
「捕まえたいなら、もっと上手にどうぞ」
朝が来る。何も覚えていない大聖女が、
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