★
0
概要
毒を飲んだのは、殺す側だった?
七の月四日の朝。わたしの寝台で、知らない女が死んでいました。
黒い髪が枕に広がって、右手のそばに、金の縁の杯が倒れています。枕元には、夫宛ての封も切っていない手紙が一通。
夫の、昔の愛人だそうです。
わたしはマチルド・ドラクロア。二十二。借財の穴埋めに嫁いだ伯爵夫人で、屋敷じゅうが「あの夫婦は不仲だ」と申しております。
――昨夜も、夫は来ませんでした。
ですから、この方がいつ来たのかも、わたしは存じません。
その日から、屋敷にわたしの居場所がなくなります。
嫉妬した妻。誰でも手の届く卓に置かれた、空の眠り薬。義兄は親切な顔で杯を金庫へ納め、司法官が呼ばれ、夫は人前でこう言いました。
「この者を、我が家から出す」
連れてこられた鑑定人は、祖父の外套に埋まった
黒い髪が枕に広がって、右手のそばに、金の縁の杯が倒れています。枕元には、夫宛ての封も切っていない手紙が一通。
夫の、昔の愛人だそうです。
わたしはマチルド・ドラクロア。二十二。借財の穴埋めに嫁いだ伯爵夫人で、屋敷じゅうが「あの夫婦は不仲だ」と申しております。
――昨夜も、夫は来ませんでした。
ですから、この方がいつ来たのかも、わたしは存じません。
その日から、屋敷にわたしの居場所がなくなります。
嫉妬した妻。誰でも手の届く卓に置かれた、空の眠り薬。義兄は親切な顔で杯を金庫へ納め、司法官が呼ばれ、夫は人前でこう言いました。
「この者を、我が家から出す」
連れてこられた鑑定人は、祖父の外套に埋まった
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?