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概要
教卓のチョーク、夕焼け、教室の鯨。
高校二年の春。有栖川真琴は、ムードメーカーで優等生、誰にでも人当たりが良い。そんな肩書きを背負って生きていた。
「姉がいそうだね」という言葉に一拍遅れて返事をする事も、「建築系なら建築学部とか理工学部とか?」と言われる時に微かに目を伏せる事も、周りは知らない。気付かない。
周りから慕われているのは有栖川真琴ではなく、便利に使えるクラスメイトという肩書きだった。それくらいわかっていた。だけれど、それ以外の生き方を知らない。それ以外の生き方をした有栖川真琴を、誰も求めない。
始業式の初日から遅刻して、しかし焦る様子の一つも見せない、自分の前の席の不思議な同級生、朝日奈葵月。
ムードメーカーだからではなく、遅刻しないからという理由で自分を頼る彼は、最初から有栖川真琴の肩書きを必要としていなかった
「姉がいそうだね」という言葉に一拍遅れて返事をする事も、「建築系なら建築学部とか理工学部とか?」と言われる時に微かに目を伏せる事も、周りは知らない。気付かない。
周りから慕われているのは有栖川真琴ではなく、便利に使えるクラスメイトという肩書きだった。それくらいわかっていた。だけれど、それ以外の生き方を知らない。それ以外の生き方をした有栖川真琴を、誰も求めない。
始業式の初日から遅刻して、しかし焦る様子の一つも見せない、自分の前の席の不思議な同級生、朝日奈葵月。
ムードメーカーだからではなく、遅刻しないからという理由で自分を頼る彼は、最初から有栖川真琴の肩書きを必要としていなかった
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