幽霊でもなく、悪意があるでもない。ただ、真実を見せられているだけなのに。私たちの日常を、懐疑で穿たれた気がした。
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朝、「起きなさい」と起こす母の声。家族みんなで囲む食卓。特別なことは何もない。だがそれが幸せだったと気づくのは、ずっと後になってからだ。主人公は「ヘンな夢」を見る。夢が彼女に禍をもたらすのかと身構えながら読み進めた。結果、そこに広がったのは予想外の世界だった。時間とともに変化する情景が繊細で美しい。改めてタイトルの意味を噛みしめた。
おぼろげな夢を頭から振り払えば、平凡だけど幸せな、いつもの朝が待っている。かと思えば、深い森の中で、周りの自然をありありと感じながら眠っているような。そして夜が来て、意識が闇へ落ちたなら、また――。命を超越したものを垣間見るような、不可思議な体験、あなたはここに沈んでみたいと思いますか?
普段、滑稽話を書きまくっている作者が時々放つシリアスな話。何だ笑えないのかと回れ右するのは早い。作者の秀逸な情景描写力を存分に味わうことができる作品だからだ。中盤の夢の描写、ある登場人物が五感を介さず直接自然の営みを感じ取るシーンは白眉である。なぜそんな夢を見ているかが本作の核心なので詳しくは述べないが、この描写があったからこそ、最後のオチが真に迫る。 本作はホラーでありSFでもあるが、評者は何だか詩のようだなと思った。おすすめ。
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