漆黒の海の彼方から、粛々と 何か がやって来る。潮の匂いに微かに混じる 死 の匂いは、其処が大海原であろうとも満ちて来る。 昏い夜空に怪鳥達が哭き叫く。鯨の王の葬列は粛々と海原を進み行き深い海底の彼方より浮上する。 閑々と揺らめく潮流に乗り、深海魚の共柄を従えて 瞑闇の中、提灯ひとつ携えず葬列は征く畏れ多くも海祇を廻り、不吉を齎らす。 不吉も又、巡りめぐりて吉祥を生すもの。万物流転の万象を ──── 努々、忘るる事勿れ。
夜の浜に打ち上げられた深海魚たち。海を通る道のような銀の月光。そして無数の鳥と魚を従えた、異形の葬列。美しくも不気味なる、その光景が示している兆しとは、何なのか――。それを知れば、その眺めは、総毛立つほどに怖ろしいものなのかも知れません。
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