概要
そんな僕の前に現れたのは、髪の長い血塗れの『典型的な幽霊』だった。
普通なら絶叫して逃げ出すところだが、僕はそれどころではなかった。
なぜなら――とんでもない便意に襲われていたからである。
あろうことかトイレを優先した僕は、その幽霊……自らを『異形』と名乗る女、マキシマノリコに気に入られてしまう。
「パートナーになって頂けませんか?」
こうして始まった、僕と異形の奇妙な関係。
ところがその日を境に、僕の周囲では不可解な事件が次々と起こり始める。
これは、僕と異形の彼女によるひと夏の怪奇譚。
或いは、世界の終わりを見届ける狂気と恋の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!情景に浸れるホラーと、愛おしいキャラクターたち
まず何より、情景描写の巧さに引き込まれました。頭の中に映像がありありと浮かんで、まさに"浸る"ホラー体験ができる作品です。
そしてキャラクターの魅力がとにかく強い。主人公は特別な力を持たない、どこにでもいそうな凡人。けれど物語を通じて少しずつ変わっていく過程に目が離せません。対するヒロインは異形でありながら強く、不気味で、それでいてどうしようもなく格好いい。途中で登場するサブキャラクターたちも、それぞれ強く印象に残っています。
ラストは、正直予想を裏切られました。詳細は伏せますが、成立しない関係性が好きな身としては、この結末を選んでくれた作者様と心の中で固く握手を交わしました。単純なハッ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本格的ホラーであり、ひたむきな純愛ラブコメ
本作は紛うことなきホラーである。
不気味さを掻き立て、怖がらせてくれるところはしっかり怖がらせてくれる。
けれど、それだけでないのが人と怪異にしっかりとドラマがあることだ。
主人公である『僕』はひょんなことから血まみれの女怪異『マキシマノリコさん』と出会う。
恐ろしいビジュアルと徹底した強さを持って己と同じ怪異を『お掃除』するマキシマさんは、それでも『僕』と同じものに触れて嬉しそうに笑う恋する乙女でもある。
そんなマキシマさんが『僕』に何故好意を持っているのかは、是非最後まで読んでみてほしい。
個人的な推しは、2章から登場の剱崎くんです。常識人ヤンキーが好きなオタク、必見ですよ! - ★★★ Excellent!!!ホラーエンタメ全部載せ! 気づけば引きずり込まれている“快感”
怪異、過不足ない不気味な描写、スリラー、モキュメンタリー、他多数……。
ありとあらゆるホラー要素が溶け合うように融合している本作。
ホラーどころかラブコメやバトルものすらカバーしていて面白い!
あらすじはホラー系ギャグ作品のように見えます……が、さにあらず。
本文を追ってみれば、考えうるホラー系エンタメ全要素を良いとこ取りした作品だと分かるハズです。
何せ全ての要素、好みに当てはまる部分は必ずどこかにあります。
あらすじにも登場する異形系ヒロイン“マキシマノリコ”も立派な怪異なので、
彼女のホラー描写もしっかり不気味、ばっちりホラー。
しかしちゃんとヒロインとして可愛いという部分までが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恐怖は、まず耳から入ってくる。鬼に金棒、伽椰子に俊雄。
怖かったです。
いや、最初はこんなことを書くつもりじゃなかったんですよ。
プロローグに登場するのは、長い黒髪に血まみれのワンピースという、あまりにも「王道」な女の幽霊。
ところが主人公は怖がらない。
なぜなら――猛烈にトイレに行きたいから。
ひどい。最高です。
「なるほど。王道ホラーの記号を使って笑わせる、怪異ラブコメね」
なんて油断していたら、次の話でいきなりモキュメンタリー形式の行方不明者情報を読まされます。
存在しない雨。
深夜にかかってくる電話。
「恵みの雨をありがとうございます」という言葉。
そしてまた、主人公と異形の女性・マキシマノリコの、どこか間の抜けた会話に…続きを読む