本作は、1995〜1996年に出荷されたという架空のゲームを巡る「呪物・オカルト」のアーカイブ形式で進むため、読んでいるうちに「本当に実在するのではないか」と錯覚させられるような不気味な恐怖感を演出した一作となります。
このフィクションと現実の境界が曖昧になる過程が秀逸で、読み進めるほどに、ページ数の増加に伴い、恐怖感が拡大していきます。
媒体を、SNSやネットの投稿とすることで、読み手の日常との親和性を高め、身近に潜むリアルな怖さの表現を絶妙に表現できています。
いわゆる「報告書・ドキュメンタリー形式」を駆使した極上のモキュメンタリーホラーであり、この設定を最大限に引き出すのは、作者様の圧倒的な「語り」の巧さとなります。
手軽に読めるその可読性の高さも秀逸です。
1990年代の架空のゲームを巡る記録やSNSの断片を通じて、フィクションと現実の垣根をじわじわと侵食していく、そんな怖さを味わいたい方は、ぜひ一度お読みいただければと思います。
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1996年に発売された謎のRPG テンペラメント・ファンタジアをテーマにしたモキュメンタリーホラーなのですが、社内メールやYouTube、テレビ番組、投稿サイトカクヨムなど、多様なメディアからごくナチュラルにこのゲームにせまっていく内容です。これらのメディアが途中で配信停止になっていたり、強制終了していたり、既に不気味な気配が漂っているんですよね。そして、ゲームのコマンド「シンフォニー」や「あたえよ」と言い続ける魔王の行動も意味不明で怖いんです。
この不気味な現象の発生源が、人の手によるものなのか、呪いなのか、すごく気になりますね。アプローチが巧みで、続きが読みたくなるホラーだなと思いました!